しいたげられたしいたけ

空気を読まない、他人に空気を読むことを求めない

一行書評

  • 藤臣柊子『みんな元気に病んでいる』(知恵の森文庫)
    • おお、文庫版、出たか。
    • 下手すると『だめんず・うぉ〜か〜』みたいな「他人の不幸は蜜の味」的な読まれ方をされかねない材料を扱っているが、あくまで解決策を探ろうという著者の基本姿勢が救いになっている。
    • (ただしその解決策とは「病院に行こう」だけではないかと突っ込まれると、ちょっとつらいが、いや、それでもそれがあるのとないのとでは、うむ…)

で、読んだのはちょっと前だけど、なんとなく思い出したので…

  • 中島義道『続・ウィーン愛憎』(中公新書
    • 14年前刊行の前著『ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書)』が「過ちを認めない欧州人」という異文化論として秀逸だったのに対し、こちらは家族の葛藤がメインということで、内容的にはだいぶ風味の違ったものになっている。
    • 一巻を貫くテーマが凝縮されているのは次の一文だと思う「飛行場の出国ゲートに入るとき、息子は思いきり笑顔をつくってこちらに手を振っている。▼妻も徴笑(ほほえ)んでいる。ああ、幸せそうだなあ。あのふたりには俺が必要なんだなあ。だが、こちらがちょっとでも気を許すと、あのふたりは俺をどこまでも拘束しようとする。そして、俺を「普通の人間」にしようとする。つまり駄目にする。どうにかしなければならない。互いに寄り添って歩くふたりの後ろ姿を見やりながら、そう考えていた。」(p50〜51)
    • (傍目から見ると「普通の人間」になる=駄目になるという考えが諸悪の根元であることは一目瞭然なんだけどね、と斬って捨ててみる)