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北村薫『覆面作家は二人いる』(角川文庫)

覆面作家は二人いる (角川文庫)

覆面作家は二人いる (角川文庫)

ぶっ飛んだ探偵役の設定。19歳、深窓の令嬢、覆面作家にしてピアノを華麗に弾きこなし、事あらば警視庁の刑事を軽く投げ飛ばす…これぐらい現実味がないと、かえって抵抗感なく「かわいらしいなぁこの娘」と思えるから不思議だ。
そして冴えない独身男のワトソン役とのコンビとなると、どうしても連想するのは赤川次郎ワールドである。以前、紀行エッセイの文体の、恐らくは構造に起因する「他人の空似」について書きかけたけど、この手の「あれ?なんか似てる」感覚はあんがいよく起きる現象なのかも。
まあ例によって「似てる」と感じたのが私一人であれば何の意味もない。いらんことだが、こうの史代『夕凪の街』の主人公・平野皆実さんを最初に見たとき、なぜか私はいしいひさいち『ののちゃん』『女には向かない職業』の藤原センセにそっくりだと感じたのだが、その理由を分析しても仕方があるまい。
追記:『覆面作家は二人いる』の話に戻るが、正直トリックは今ひとつな気がする。例えば表題作「覆面作家は二人いる」なんだけど、ネタバレになるから詳しくは書かないが「じゃ、持ち出すときに見つかったらどうするつもりだったんだろう」という疑問が消えない。「持ち出すときにばれなかったので一回で目的を達成した」ということにすれば一応つじつまは合うけど、計画としてはちょっと杜撰じゃないかという気がする。また「持ち出すときばれない方法は別に調べておいた」は、かなり無理があるよね?(←文字色を白にしていますので反転させてください。大したことは書いてありませんが)
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