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R.アーリック『トンデモ科学の見破り方 もしかしたら本当かもしれない9つの奇説』(草思社)

トンデモ科学の見破りかた -もしかしたら本当かもしれない9つの奇説

トンデモ科学の見破りかた -もしかしたら本当かもしれない9つの奇説

手強かった(^^;統計とか相対性理論とか、かなり高度な道具を使いこなしている。当方も確かに昔、勉強したことはあるにはあるけど、忘れてしまったというか、もともと身についていないというか。それが翻訳特有の文体とあいまって、少なくとも私には簡単には歯が立たないという感じだった。
ネタバレになっちゃうから例によって文字色を白にしているけど、著者の「トンデモ度0」(本当であっても不思議ではない)〜「トンデモ度3」(ほぼ確実に真実でない)の判定は、以下の通り。

  • 銃を普及させれば犯罪率は低下する(トンデモ度3
  • エイズの原因がHIVというのは嘘(トンデモ度3
  • 紫外線は体にいいことの方が多い(トンデモ度0
  • 放射線も微量なら浴びた方がいい(トンデモ度1
  • 太陽系には遠くにもう一つ太陽がある(トンデモ度2
  • 石油、石炭、天然ガスは生物起源ではない(トンデモ度0
  • 未来へも過去へも時間旅行は可能である(トンデモ度0、ただし我々が生きている宇宙での可能性はトンデモ度2
  • 光より速い粒子「タキオン」は存在する(トンデモ度0
  • 「宇宙の始まりはビッグバン」は間違い(トンデモ度3

私個人にとって意外だったのは、私がたいした知識もなくかつ先入観に基づいて考えた判定と、著者の結論が、かなり一致していたことである。いちばん評価に差があったのは「放射線も微量なら浴びた方がいい」で、私はもっと高いトンデモ度を考えていた。
で、これが実はけっこう気になっている。著者は第1章で10か条のトンデモ度の判定基準を示している。その5条めに「政治的背景の有無」というのがあって、これについて例えば「銃を普及させれば犯罪率は低下する」ではかなりの行数が費やされて議論されている。
放射線というテーマで私はただちに「劣化ウラン弾」の問題を想起した。『季刊 前夜』(創刊号)のノーマ・フィールド氏の論文によると、現在アメリカで劣化ウラン弾について論じるのはタブーに近いという。もし米政府が劣化ウラン弾の有害性を認めたら、その使用と貯蔵をめぐって想定される補償金額は膨大な額になるというのだ(前掲誌p19〜20)。
アーリック氏は「劣化ウラン弾」に関してはこの本の中で一言も触れていない…
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