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清水義範『いやでも楽しめる算数』(講談社文庫)

いやでも楽しめる算数 (講談社文庫)

いやでも楽しめる算数 (講談社文庫)

著者がえらく卑屈になっている。「おもしろくないでしょ?」とか「評判が悪いんです」とか、そんな意味の言い訳がやたらと目につく。だけど世の中には算数や数学を素晴らしく面白いと感じる人種もいて、私もそのはしくれのはしくれである。第二章の「73×77を暗算で計算する裏技」は、説明を聞くと易しいが目からウロコであるし、第六章の「クーポン券収集者問題」あるいは著者の言うところの「赤胴鈴之助問題」は、一巻の白眉である。だが「面白くない」「評判が悪い」と言われる理由も、わかることはわかる。算数や数学の面白さは、ある程度自分で考え自分で手を動かして初めてわかるものであるし、また自分が面白いと思っても、その面白さを他の人に伝達するのは相当に難しいからである。
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