しいたげられたしいたけ

人権を守るには人権を守るしかない。人権以外の何かを守ることで人権を守ろうとする試みは歴史的に全て失敗している

英語のリハビリの必要性を感じて

The Little Prince

The Little Prince

Saint-Exupery、Richard Howard(訳)"The Little Prince"(Harvest Books) にチャレンジ中である。
オリジナルのフランス語版はちょっと無理。英語版は、フランス語版と同じ1943年に出たキャサリン・ウッズ訳が有名だが、こちらを選んだのは特に意味があるわけではなく、店頭に並んでいるのを手に取ったというだけ。
洋書を読むなら童話かポルノグラフィーがいい、とは(冗談半分にせよ)よく言われることである。大人が母国語で童話を読むと、サラっと読んでなかなか深読みをしない。『星の王子さま』に限らず、名作と言われる童話は等しく懐が深くて深読みの余地が大いにあるものである。
ポルノグラフィーに関しては、外国語の方が想像ちゅーか妄想が広がる。フランス語ができるんだったら『O嬢の物語』なんてオリジナルで読んでみたいものだ。
とは言うものの…
amazonのページには「対象: 9-12歳児」なんて書いてあるけど、英語国民の9-12歳児は、こんな文章を読んでいるのか???
ほんの一例。有名なバラと王子さまの対話のシーンから。

Humiliated*1 at having let herself be caught on the verge*2 of so naive a lie, she coughed two or three times in order to put the little prince in the wrong*3.

(上掲書p24)
一読して意味が理解できますでしょうか?
単語は辞書を引くしかない。"put … in the wrong"を辞書で調べるのはなかなかに勇気の要ることだが、「何がわからないかわからない」状態から「ココがわからないからわからない」状態に移行するためには、手間さえ惜しまなければなんとかなることに手間を惜しんではいけないのである。
わからない単語や成句がほぼ見当たらなくなったら、ブルームフィールド構文解析(笑)の出番である(ブルームフィールド構文解析については2006-03-29の日記参照)。
まずはカンマで前半と後半をぶった切る。後半は、さらに細かく要素分析してもいいが「彼女(バラ)は王子に過ちを押し付けようと、二・三度咳をした」である。
で、前半。"at"以下は"Humiliated"に対する形容。つまり、バラは恥ずかしかったので、王子に過ちを押し付けようとしたのである。なんで恥ずかしかったのかというと、"having let herself be caught on the verge of so naive a lie"どうやらこれが今回の、敵の本丸のようだ。
わからないのが"of so naive a lie"。"of"の次には名詞か名詞節が来るはずなのに、今回の場合、直接来ているのは"(so) naive"という形容詞だ。日本語では「繊細な」とかいいニュアンスがあるが、元々の英語では「単純な」とか「世間知らずな」とか悪いニュアンスが勝っているということでけっこう有名な単語である。しょうがないから、ここは"so naive"は"a lie"に対する形容と見、"of"はその"a lie"を受ける破調と解釈してしまう。"of such a naive lie"ってことやね。
これが正しいのかどうかは、英文法学者ではないのでわからない。だがそうすると"on the verge of so naive a lie"というのが「見え透いた嘘をつきかけて」という意味だな、と解釈できるようになるのである。
"having let herself"は、「自分で自分をそう仕向ける」つまり見え透いた嘘をつこうとしたことは、彼女自身の意思によるものであったことを表しているが、訳文には明示的に含めるまでもあるまい。
以上、結論として上記の引用部を私なりに訳すなら「バラは、自分が見え透いた嘘をつきかけたことが恥ずかしくなって、王子に過ちを押し付けようと、二・三度咳をした」という感じになる。
はぁ…
あ、弁解しておきますが、大半はやさしい英文です。ただ、たま〜にこういうノン・ネイティブには骨の折れるタフな箇所が、一箇所二箇所顔を出すことがあるということです。

*1:hu・mil・i・ate ━ vt. はずかしめる, 屈辱を与える.(webエクシード英和辞典:以下同じ)

*2:on the verge of …に瀕(ひん)して, 今にも…しようとして

*3:put … in the wrong 過ちを人のせいにする