しいたげられたしいたけ

建築家は外装の失敗をツタで隠し、料理人は味付の失敗をマヨネーズで隠し、政治家は内政の失敗を戦争で隠す

渡辺仁『起業バカ 2 やってみたら地獄だった!』(光文社)

起業バカ 2 やってみたら地獄だった! Idiot Entrepreneurs (ペーパーバックス)

起業バカ 2 やってみたら地獄だった! Idiot Entrepreneurs (ペーパーバックス)

同じ著者の『起業バカ (ペーパーバックス)』がよかったので、読んでみた。なお前作については2005-06-17で「これは告発の書ではないのか?」と書いたけど、本書の前書きではそれは否定されている(p15)。著者としては「起業の舞台裏を知ってよ!」という気持ちで書いたんだそうだ。
で、著者は表紙に裏表紙に「まえがき」に「あとがき」に
「バカは成功に学んで失敗し、利口は失敗に学んで成功する」
と何度も繰り返しており、これが本書のテーマにほかならないことは一目瞭然である。
だけど…私はヘソ曲がりだから、ついつい著者の意図と違う読み方をしようとするのだが、本書に登場する事例は、失敗例ばかりなのかな?そうとは思わない。本書には「実例」と題されたエピソードが14登場するが、そして中には風俗嬢に堕ちた外国人元留学生とか、悲惨としか言い様のないケースも含まれるが、ほとんどの登場人物はなんとか再起を果たしているじゃないか!
著者は「社長は、永久に止まらない「ストレス請負業」」と言っている(p115)。私の好きなサイバラ語で言うと「商いは止まらない汽車」というやつである。この点に関しては、一もニもなく全面賛成である。いったんコトを起こしたからには、一度や二度の倒産や、ン億やそこらの借金で、くじけていては仕方がない、いや、一度や二度の倒産や、ン億やそこらの借金は、乗り越えられるものと腹を決めてかかるべきである、と、本書はそういう読み方をするべきではないかという気がする。
ネタバレになるから詳しくは書かないけど、本書のエピソードの最初に登場する、悪徳フランチャイズ本部に引っかかって4500万円を失ったという元腕利き営業マンも、「あとがき」を読むと決して転んでもタダでは起きなかったことが読み取れる(まぁ、おしなべてフランチャイズは本部だけが儲かる仕組みになっていて、決して乗っかってはいけないシロモノなのだが、それはおいといて)。
逆に言うと、この手の本はつい「他人の不幸は蜜の味」的な読み方をしてしまうのだが、それではそれこそ得るところは少ないんじゃないかと思うのである。