しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

矢野健太郎、一松信『角の三等分』(ちくま学芸文庫)

角の三等分 (ちくま学芸文庫)

角の三等分 (ちくま学芸文庫)

表題は有名なギリシャ以来の数学の難問、「定規と両脚器*1を有限回用いて、与えられた角の三等分が作図できるか」を意味する。
本書では、それが不可能であることが証明されている。そのあらすじは以下の通り。
まず与えられた角の三等分を作図することが、角の三等分方程式
x3 - 3x - a = 0
有理数解を持つかという問題と等価であることが示される(〜p51)
角の三等分方程式の導出は、中学数学レベルの幾何的方法(p24〜29)と、三角関数の公式を使う方法(p29〜30)の二通りでおこなわれている。前者は6ページを必要とするのに対し、後者は半ページで済んでしまうのを見ると、三角関数ってすごいものだなと改めて感じる。10-14に書いた「海王星と他の惑星の平均距離」の近似計算だって、三角関数を使っていいのといけないのとでは、ややこしさは段違いだもんね。
そして角の三等分方程式が有理数解を持たないことの証明も、初等的な方法(〜p66)と体論を使う方法(〜p125)の二種類が載っている。前者は、中学校で習う√2が無理数であることの証明方法に似ているという印象を受ける。後者は、05-15に少し書いたやり方と大体同じようである。
恥ずかしながら体論とか群論とか、ガロアの開拓した理論の意義を、私は理解していない。著者の一人の一松氏によると

(略)ガロアの理論から眺めますと、あたかも「飛行機から先人の苦心してたどった山路を一望の下におさめる」ように,そのへんの事情がすべて明快に見えます.

(p148)
とのことである。
三角関数だって、知ってるのと知らないのとではこんなに違うのだということを見せつけられると、知りたくなるよね、ガロア理論

*1:コンパスを本書ではこう表記している