しいたげられたしいたけ

人権を守るには人権を守るしかない。人権以外の何かを守ることにより人権を守ろうとする試みは歴史的に全て失敗した

吾妻ひでお『うつうつひでお日記』(角川書店)

うつうつひでお日記 (単行本コミックス)

うつうつひでお日記 (単行本コミックス)

名作『失踪日記』執筆中の、いわば小康状態にある期間のマンガ日記。寝て起きて、食事をして、クスリを飲んで、本やマンガを読んで、TVやビデオを観て、そして数ページの仕事をしてという日常生活が、淡々とつづられている。好みは分かれるだろうなとは思うけど、私は好きです。いわゆる「ヤマなし」「オチなし」だが、決して「意味もなし」だとは思わない。日常生活の繰り返しの中からでも、いろんな「意味」はくみ取ることができるものだと思う。
出版社の担当さんから「不況で確実に売れる作品以外はうちの会社も出さないらしくて…」(p26)と言われてコーヒーを吹き出したり、同じ人から「J誌の漫画家さんで知ってるだけでも4人自殺してます」と言われたり…J誌ってどこだ?(笑…ってる場合ではない
マンガ家さんって、とっても素敵な職業だと思うんだけど、それはアイデアが泉のように湧いてファンの人たちの要求に応えられている間であればこそなんだろうなぁ。アイデアが思うように出てこないときの苦しみと言ったら、余人には計り知れないんだろうなぁ。まあ、それはマンガ家さんに限らず、芸人さんでも、作家でも同じだろうけど。
あと、著者の好みと私の好みが、わりと一致している部分があって嬉しかった。
デスノート』に関して「小畑健の絵はうまいが写真を写したような感じで自在に動かしてはいない」(p123)という意味のコメントがあって、うなってしまった。さすがプロの目は違う。欄外で「人の絵についてどーこー言えるような絵を描いていません」とフォローしているところも、好感度が高いです。