しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

野崎昭弘『不完全性定理―数学的体系のあゆみ』(ちくま文庫)

不完全性定理―数学的体系のあゆみ (ちくま学芸文庫)

不完全性定理―数学的体系のあゆみ (ちくま学芸文庫)

三国志だけが中国史じゃないが三国志関係の本が出ると買っちまうみたいなもんで、不完全性定理だけが数学じゃないが不完全性定理の本が出るたびに買ってしまう傾向がある。
本当はそんなことをするべきではなくて、三国志なら正史の陳寿三国志を読むべきであろう。不完全性定理であれば、最近岩波文庫から原論文が、その道の第一人者の林晋氏の翻訳で出版されたし(『ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫)』)、もっと以前の海鳴社の『ゲーデルの世界―完全性定理と不完全性定理』でも日本語の翻訳が読める。
いや、実は海鳴社の本は持っているのだが、歯がたたない(^▽^;
今回は、今を去ることン十年前に初めて私が不完全性定理というものの存在を知るきっかけとなった『詭弁論理学 (中公新書 (448))』、『逆説論理学 (中公新書 (593))』(名著です!いずれも)の著者の作品ということで、買ってしまった。
しかし、読むたびに発見というものはあるもので、本書では公理系の「無矛盾性」(命題Aと命題Aの否定が同時に証明されないこと)と「完全性」(その公理系で真となる命題が必ず証明可能なこと)をいかにして証明するかについて、丁寧に説明してくれている点がよかった。一言で言えば「その公理系にモデルが存在するかどうか」がポイントになるのだ。ただし「なんだそれは?」と聞き返されるとつらい。かなり多くの言葉を費やして説明しなければならない。しかも「なぜそれが公理系の無矛盾性や完全性とやらの証明になるのだ?」と突っ込まれても、返すことができないであろう。それはとりもなおさず、私の理解度がまるで不十分であることの証明にほかならないのである(^▽^;