しいたげられたしいたけ

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阿部真大『搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!』(集英社新書)

搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

1976年生まれ、いわゆる「団塊ジュニア」世代の著者によると、「ひきこもり」や「ニート」と「ワーカホリック」は表裏一体なのだそうで、趣味のバイクを収入へと結びつけようと入ったバイク便会社で著者が見たものは

「働かない」で「やる気のない」若者の姿ではなく、「働きすぎ」で「やる気ありすぎ」の若者たちの姿だった。

(p6)
さらに著者は言う。

 自己実現系ワーカホリックは、それが安定した仕事と結びついたときは、あまり大きな問題を引き起こさない。例えば、夢をかなえて検事になった僕の友人はワーカホリックであるが、彼は一生働きつづけることができるという点で、「やりたいこと」のなかで生きつづけることができる。
 問題は、ワーカホリックが不安定就業と結びついたときである。「やりたいこと」を仕事にし、ワーカホリックになったはいいが、それが非常に不安定な職種であるとき、その人は未来のない仕事に多くの時間を費やすことになる。

(p16〜17)
で、バイク便ライダーはガソリン代からバイク維持費まですべて自腹(p4)、しかも彼らの多くは請負契約の歩合制で働いているため、最低賃金の保障がなく、また職種柄、交通事故が頻繁におきるが、労災保険がおりない(p24)そうである。
歩合ライダーの間では月の売り上げが100万円を越える「ミリオンライダー」が尊敬を集めるが、歩合は40〜50%だから、月に40万以上を稼いでいることになる(p43)ということで、

それは「下手なサラリーマンよりよっぽどまし」な暮らしであり、もちろん、家族を養っていくこともできる。
 つまり、ミリオンライダーとは、収入の面でもっとも優れたバイク便ライダーであり、バイク便で生計を立てていこうとしているライダーにとっては、英雄的存在なのである。

(p43〜44)
とのことだが…
ち ょ っ と 待 て オ イ (゚∀゚;
月収40万って、高給と言えるのか?安い額ではないだろうけど、トップでソレってことはないだろう。逆に言えば、ミリオンライダーを英雄視する大多数のバイク便のライダーには「家族を養っていくこと」はできないってことなのか?(どうもそうらしい…(-_-;
以下、本書から離れて私の意見。目下、日本の教育制度をめぐる論議がかまびすしいが、どっかで欧米と比べた日本の教育の問題点として、あちらでは実社会で個人を守る法的制度など社会の仕組みと、それをいかに利用するかを学校で教えるが、受験主眼の日本の学校ではそういった内容の授業はほとんどない、という指摘を、読むか聞くかしたことがある。
確かに雇用や賃金をめぐるトラブルに直面したときに、労働法その他で身を守ろうとする発想は日本のサラリーマンには希薄だし、悪徳商法に遭ったとき消費者契約法特定商取引法を武器に相手を撃退できる消費者の割合は多くはないだろう。
決まり文句を出せば「法は権利の上に眠るものを守ってくれない」のだ。
そして、愛されないで育った子どもは大人になったとき人を愛することができないと言われるように、自らの権利が守られていることを知らずに生きてきた人間が、たまたま他人を雇用する立場になったとき、他人の権利を守るという意識が恐ろしく希薄な経営者になったとしても、不思議なことではない。