しいたげられたしいたけ

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鴻上尚史『ファントム・ペイン』(白水社)

ファントム・ペイン

ファントム・ペイン

たまに戯曲を読む。著者は大好きな人の一人だが、エッセイを除くと廉価な文庫本ではあまり手に入らないのが残念である。とは言うものの戯曲まで文庫や新書になる人は、井上ひさしとか中島らもとかごく少数の例外を除いて、あまりいないものだが(なお「ドン・キホーテ」シリーズとか「夕日堂」シリーズとか、文庫化されている著者のエッセイは、ほとんど読んだ。ちなみに、井上先生もらもさんも大好きです)。
この著者のことを知ったきっかけは、某大学の劇団が『スナフキンの手紙』を上演しているのを、たまたま観たことであった。なんで学生演劇を観ようと思ったのかは、よく憶えていない。台本を取り寄せて読むほどまで、ハマった。深層心理、パラレルワールド、管理社会を扱った架空世界ものであるが、ややもすると斜に構えてシラけがちな若い観客を、とにかく無理やり笑いに持っていく技術が、特にすごいと思った。たたみかけ、シリアスからギャグへ・ギャグからシリアスへのめぐるましい転換など。また、当時はまだ珍しかったはずのノートパソコンとパソ通が、重要な小道具として登場する。個人開設のBBSで「完全匿名・書き込み自由・削除なし」を売りにする「やんすネット」というのが出てくるが、今にして思えば「2ちゃんねる」を完全に先取りしていたのではないか?
ファントム・ペイン』は『スナフキンの手紙』の続編というか後日談である。『スナフキンの手紙』を観るか読むかしていないと、ちょっとつらいのではないか?なお本編には「やんすチャンネル」というのが登場するが、虚構が現実に追いつかれちゃたかな?