しいたげられたしいたけ

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本橋哲也『ポストコロニアリズム』(岩波新書)

ポストコロニアリズム (岩波新書)

ポストコロニアリズム (岩波新書)

イラク建国 (中公新書)』を読んでいて、ヨーロッパ諸国による植民地支配(一言で「帝国主義」と言えばいいんだろうか?)について、もう少し知る必要性を感じ、読んでみた。
本書のように1492年のコロンブスのアメリカ大陸到達を画期とすると5世紀もの間、アジア・中東・アフリカ・中南米を覆った巨大な潮流であるのに、私の知識は情けないほど貧弱なのだ。
ただし、巻を開く前に私が期待したものとは少し違って、本書は、植民地支配を経験した各国・各地域において、いかにして植民地支配の影響から脱却を果たすのか苦闘する知識人の、列伝のような書物であった(私が期待していたのは、もうちょっと軟弱なというか素人向きの、植民地主義に関する歴史と時代背景の概説書です)。
アルジェリアの対フランス独立革命に身を投じた精神科医フランツ・ファノン(第三章)、中東問題が重要度を増すにつれその名が世界に轟くようになったパレスチナ出身の英文学者&比較文学エドワード・サイード(第四章)、インドの西ベンガル州出身の米国コロンビア大学教授ガヤドリ・スピヴァク(第五章)、それにアイヌ・沖縄・朝鮮半島など日本にとってのポストコロニアリズムと取り組む人々(第六章)など。
私は、サイードの名前はさすがに知っていたが、ファノンやスピヴァクのことは本書を読むまで名前すら知らなかった。
スピヴァクが主要な道具の一つとして使っているというジャック・デリダの「脱構築」(p153〜)というのが面白そう(と書くと「お前はそんなことも知らなかったのか?」と言われそうで怖いが)。