しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

リチャード・ワイズマン、矢羽野薫(訳)『運のいい人にはワケがある! 運を鍛える《ゴリラ》の法則』(角川書店)

運のいい人にはワケがある! 運を鍛える《ゴリラ》の法則

運のいい人にはワケがある! 運を鍛える《ゴリラ》の法則

同じ著者の『運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則』はメチャメチャ良かったのだが、続編が出ていたのに長らく気づかなかった。遅ればせながら気づいたので、さっそく読んでみた。
イリノイ大学で、こんな実験用ビデオを作ったという。
6人がエレベータホールでバスケットボールをしている。三人は白いTシャツを、三人は黒いTシャツを着ている。白いTシャツの三人がパスを回していると、ゴリラの着ぐるみを着た男が現れて6人のあいだをゆっくりと歩き回り、カメラに向かって胸をたたいた後、画面から消える。
このビデオを被験者に見せて、白いTシャツのチームがボールを何回パスするか数えてもらう。ビデオが終わったところで「何かヘンなものがいなかったか?」と質問すると、ゴリラに気づいた被験者は数えるほどしかいなかったというのだ。
そこでもう一度ビデオを見せると、全員がゴリラに気づくが、中には「違うビデオを見せた」と怒り出す人もいたという(p12)。

本書p13には「さっそく世の中の見方を変えるゴリラを探しに、サファリの旅に出よう」と書かれており、p14には上掲のようなイラストが示されている。
ゴリラは幸運やチャンスのメタファーで、それらが手が届くところに現れたときに、その存在に気づくか気づかないかが、いわゆる「運のいい人」と「運の悪い人」の違いだというのが、前著から変わらぬ著者の主張である。
それはそれでもっともだと思う。だがそれ以上に、この導入のエピソードを読んで、自分もこんなふうに誰かから上手に騙されてみたいものだと思った。イリノイ大学が作ったビデオはネット経由で手に入るらしい。だけど、ビデオだけを観ても意味はないよね?実は本書には、読者も騙してくれるトリックがふんだんにちりばめてある。ただ私としては、前著と比べると「運のいい人」や「運の悪い人」の体験談、そして運の悪さを努力や工夫によって克服してゆくレポートが、全く含まれていなかった点を不満に感じたことも書いておこう。一件だけネタバレを。例によってフォントの色を白にします。
ゾウの足が全部ヘンなのに気づきましたか?