しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

田中克彦『ことばと国家』(岩波新書)

ことばと国家 (岩波新書)

ことばと国家 (岩波新書)

我々は「あなたは何ヶ国語を話しますか」という言い方をするが、言語は国家を持っているとは限らない。フランスではオック語オイル語が二大勢力であったが、中世において後者の優越が確定すると、前者に対する徹底的な排斥が始まり、それはフランス革命後も引き継がれ、むしろ激化したという(四章)。日本の教科書によく採用された『最後の授業』は、実はその舞台となるアルザス地方ではドイツ語にきわめて近い言葉が話されているという事実を知らされると、印象は一変する(五章)。「アルザス」を「朝鮮」と、「フランス」を「日本」と置き換え、さらに登場する人名に「朝鮮人名の日本語読み」と同じ問題を見出すと「「最後の授業」の母国語愛がどのような性質のものであるかがありありと姿をあらわしてくるであろう」(p127)とのことである。ううむ…