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ドナル・オシア、糸川洋(訳) 『ポアンカレ予想を解いた数学者』(日経BP)

ポアンカレ予想を解いた数学者

ポアンカレ予想を解いた数学者

ポアンカレ予想というものについては、'06/06/23のエントリーの後半で、私の理解するところを書いた。本書を含め、あれから何冊かの本を読んだが、そんなには間違っていないと思う。
結論を言うと、この難問はロシア人数学者ペレルマンによって肯定的に証明された。従って『ポアンカレの贈り物―数学最後の難問は解けるのか (ブルーバックス)』の冒頭で主人公がもらったプレゼントは、残念ながら(?)実在しない。
ポアンカレ予想が、なぜ多くの数学者を惹きつけたかというと、我々の住む宇宙の姿が3次元超球面(本書では3-球面と記される)と同相ではないかと多くの人が考えたことが、理由の一つのようである。つまりロケットに乗って宇宙の一方向にどんどん進んでいくと、やがて地球に戻ってこれるのではないかというのだ。ちょうどマゼランの艦隊が地球を一周して戻ってきたように。本書では、その話題が一巻を貫く基調音のように扱われている。しかし最近の研究によると、どうもそうではないらしい。
http://www.asahi.com/edu/university/kougi/TKY200711240075.html
「宇宙空間のモンスターたち:3(福江教授)」より。

宇宙が有限か否かは、10年ほど前まで答えることができない質問でした。しかし、宇宙の年齢を明らかにした近年の観測から、宇宙空間は本当に無限で、今後も無限に広がり続けることがはっきりしました。船がいくら進んでも前方に水平線が見えるのと似た原理で、光の速度が限られているため、自分の場所から見通せるのは、宇宙の年齢と同じ137億光年先までに限られます。しかし、球面の地球上を進むのと違い、宇宙空間をどこまで行っても、元の場所には戻ることはありません。ところで、誠に残念ながら、私も宇宙の研究がメシの種なのに、「無限」というものの実感がつかめず困っています