しいたげられたしいたけ

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久しぶりに一気に新書二冊

意地になんなよ>自分

伊藤千尋『反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO!』(集英社新書)

反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO! (集英社新書 420D)

反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO! (集英社新書 420D)

堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

著者も出版社も違うんだけど、アメリカという国の、特に軍事面を、内側と外側から描いている。ルポルタージュなので読みやすい。
『反米大陸』は、現在、南米大陸のほとんどの国で(ぶっちゃけコロンビア以外ほぼすべての国で)左派政権か中道左派政権が成立している理由をさぐっている。
アメリカという国は、ハリウッドのアクションヒーローよろしく、問題解決のためにすぐに軍事力を行使する。著者はその根っこを、先住民を虐殺し、戦争によってメキシコ領やスペイン領を次々に奪いながら成立したアメリカという国家自体の起源にまで遡って論じている。
しかし、フィクションならば暴力で問題を解決したらエンドロールが出てくるが、現実には暴力は必ず遺恨を残す。現状は、まさに鬱積したアメリカに対する憤懣が、選挙によって噴き出した状態とも言えるのだろう。
抽象的な言葉でまとめるとイメージが伝わらないが、本書では詳細がかなり具体的に記述されている。ほんの一例だが、1950年代に土地改革を行おうとしたところ、米資本のユナイテッド・フルーツ社の土地が接取の対象になるということで、クーデターを起こされ政権をひっくり返されたグアテマラの話は、『冒険者カストロ (集英社文庫)』でも取り上げられていた。このような理不尽きわまりない理由よって軍隊に蹂躙された南米各国の住民にしてみれば、たまったものではないだろう。
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『ルポ貧困大国…』では、新自由主義の自由競争の美名の下に、移民、カトリーナなど災害被災者、マイノリティなどが徹底的に食い物にされる様子が描かれる。最近、株価低迷ニュースがらみでサプライムローン問題がよくマスコミを賑わすが、本書「プロローグ」にはそのサプライムローンによって購入した住宅を差し押さえられたメキシコからの移民が登場する。英語が満足にできない移民に対して、美辞麗句を並べて高額のローン契約書にサインさせる。利率は相場より3〜4割も割高だという。一言で言えば、悪徳商法である。破産以外にも、一度大きな病気をしたらアウト、一度災害に遭ったらアウトというのが、アメリカという国の現状らしい。
そして希望を失った人々の目に、最後のチャンスのように映るのが、軍隊なのだという。本書には、徴兵に直接応じるというケースのみならず、割のいい職種だと思って応募したらイラクに運転手や倉庫の作業員として送られたという事例も紹介されている。第5章(p147〜)には、炎天下のイラク劣化ウラン弾化学兵器に汚染された水を大量に接取したため、帰国して白血病と診断されたトラック運転手が登場する。