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二間瀬敏史『ここまでわかった宇宙の謎―宇宙望遠鏡がのぞいた深宇宙』 (講談社プラスアルファ文庫)

ここまでわかった宇宙の謎 (講談社+α文庫)

ここまでわかった宇宙の謎 (講談社+α文庫)

'07/12/31のエントリーで「最新の観測結果によると、宇宙空間は無限だ」という記事を引用したが、宇宙についてもうちょっと知りたくなって、いろいろ本を読んでいる。
この本は文庫化される前の平凡社から出たオリジナルが1993年初版で少し古いが、やはり「宇宙は開いているらしい」(宇宙は無限らしい)ということが、p62など何箇所かに書かれている。
そう、これがよくわからんのだ。宇宙の起源がビッグバンだという説は、異論をとなえる人はいるというものの、おおかたでは受け入れられているようだ。だが「無限の宇宙が一点から膨張している」というのは、どういうことだろうか?もともと無限の宇宙が、さらに膨張しているというのなら、まだわかる。あるいは宇宙の形状が四次元球体(三次元超球面)だというのであれば、それもよかろう。と言うか、私は宇宙の形状が四次元球体であることを前提としてビッグバン理論を理解してきた…いや、理解はしとらんな。イメージしてきた。そうじゃないとしたら、いつどこで有限から無限にリープしたのだ?また、宇宙が一点から発生して、初期にはごく限られた大きさしかなかったというのなら、その境界や外側はどうなっていたのだろうという素朴な疑問が、再び頭を持ち上げる。
だが、そうした疑問には、本書は答えてはくれない。
本書の執筆時点では、宇宙の年齢は約100億年と推定されている。新しめのデータとしては、137億年という数字をよく目にする。100億光年ないし137億光年より遠くは、どんな望遠鏡を使っても見ることができないのだ。
宇宙が果てしなく膨張していったらどうなるか?本書によると、太陽が燃え尽きるのは50億年後。いちばん寿命の長い恒星が燃え尽きるのは100兆年後だそうだ(p150)。100京年後には銀河はすべてブラックホールに変わり、1京年の100兆倍の後には、ブラックホールに吸い込まれる運命を免れた物質も、陽子と中性子陽電子や光に変わってしまうことにより消滅する。そうすると宇宙に存在するのは、陽電子と電子が100億光年を隔てて対になった「ポジトロニウム」という物質だけになるのだそうだ。これは「直径100億光年の原子」(p153)ということになるのだそうだ。さらにホーキング理論によると、ブラックホールも10の100乗年後には蒸発して無くなってしまうという。
しかし、このポジトロニウムで構成された生命体の可能性を論じる学者もいるのだそうだ(p155)。「大きい」「小さい」はしょせん相対的なものなので、膨張を続けて大きくなった宇宙のサイズが、ポジトロニウムでできた生命体のサイズより十分大きければ問題はないのだという。ううむ…
あと、あらゆるものをぶった切る「宇宙ひも」の話は、私は本書で初めて知って、面白かった。

 まず、巨大なゴムひもを想像してください。それが宇宙ひもです。
 ただしその幅は10-30素粒子よりもはるかに細いのに、重さは長さ1センチメートルにつき1億トンの1億倍にも達します。さらにそれがほとんど光の速さで激しい振動をし、これにぶつかればどんなものでも切り裂かれてしまう「宇宙の怪獣」です。

(p210)
「怪獣」というより、必殺技系かな?ブラックホールも切れるのかな?SFであれば、敵側がこれを武器に使って銀河系壊滅か何かを企み、主人公側は、比較的なじみのあるブラックホールを道具に使って回避か反撃を試みるという感じで、ストーリーが作れそう。