しいたげられたしいたけ

人権を守るには人権を守るしかない。人権以外の何かを守ることにより人権を守ろうとする試みは歴史的に全て失敗した

世の中は、自分に見えているものとは全然違うのではないか

…ということを、よく感じる。
BUNTENさんのところの最近のエントリー経由で、2ちゃんのこんなスレを読んでしまった。
「【政治】総務省厚労省に改善勧告「自立支援の強化を」…生活保護制度めぐり」
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1217560383/-100

1 : ◆amd...CAKk @窓際記者こしひかりφ ★:2008/08/01(金) 12:13:03 ID:???0

★自立支援の強化を=生活保護制度めぐり勧告−総務省

総務省は1日、生活保護からの脱却を目指す人に対する自立支援の取り組みが
不十分として、厚生労働省に改善を勧告した。全国の福祉事務所で、厚労省
通知している自立支援プログラムの策定・活用が進んでいないためで、総務省
プログラムのメリット周知などを一層進めるよう求めた。

 >>>http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008080100233

公言している通り私は2ちゃんねる嫌いの2ちゃんねらなのだが、とりわけ一番嫌いな「弱者が弱者を叩く」といういやらしい構造が濃厚に発揮されているスレであった。例えば、

7 :名無しさん@九周年:2008/08/01(金) 12:22:51 ID:dn+c5f720
生活保護もらってベンツ乗り回してたり、パチンコに入り浸ったり、偽装離婚してる奴が多いんだろ?
生活保護受給者に抜き打ち検査して、悪質な奴は逮捕しろよ。

のようなステレオタイプな発言をする奴こそ、なんとかできないものか?日本の生活保護の不正受給率は0.3%。一方でカバー率*1は20%そこそこと言われる。とても「悪質な奴」がいるで相殺できる数字ではない。
これらの数字はネットで調べるといくらでも出てくる「常識レベル」だと思っていたのだが、この程度の知見すら2ちゃんねらの間では共有されていないのかと、情けなく思った。
とか何とか思っていると、「はてな」の最近の人気記事に、こんなエントリーが出ていた。
「会社を作る際に経営者が知っておくと便利な7つのテクニック」
http://d.hatena.ne.jp/boltman/20080801/1217547600

3、助成金関係は社会保険労務士を使う
顧問で社会保険労務士をつけておくといろいろな助成金の対策をとってくれます。

あるいはもうちょっと大々的に報道されているところで、こんな記事が。ネットでは「漁業者は何もしなくてもお金がもらえるのか?」なんてピント外れな意見も散見されたが、廃業する前に支援するのと廃業してから失業保険だ生活保護だということになるのと、どっちがいいだろう?
「漁業燃料費増加分の最大9割補てん、緊急対策745億円」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080728-OYT1T00566.htm

 農水省は28日、原油高に伴う燃料価格の高騰で打撃を受けている漁業関係者に対して実施する総額745億円の緊急対策を発表した。
 省エネに取り組む漁業者を対象に、燃料費の増加分の最大9割を実質的に補てんする支援策が柱だ。
 支援策は、漁に使う電球のワット数を下げたり、漁場に向かう船の速度を落とすなどして燃料使用量を前年より1割以上減らす操業計画の策定が条件となる。
 省エネ実施後の燃料費から昨年12月の価格を元に算出した燃料費を差し引き、その差額の9割を国が助成する。期間は原則1年で最長2年まで延長できる。
 このほか、省エネ操業に取り組む際に必要な運転資金を無利子で融資する制度も新設する。
(2008年7月28日20時48分 読売新聞)

逆のケース。いつも読ませてもらっているlessorさんの日記だけど、ちょっと前のエントリーで気になっていたもの。ブログでしか知らないんだけど、lessorさんの事業は間違いなく社会から必要とされているものだと思う。それなのに、いいのか、これ、こんなことで?
「[近況]補助金却下」
http://d.hatena.ne.jp/lessor/20080723
きりがないのでこのくらいにしておくけど、何が言いたいかというと、制度が錯綜していてとにかく全体像が見えないことが問題なのだと思う。アクセシビリティは最悪なんじゃないかと思う。普通にサラリーマンを何年かやってきた人間が、いざ自立を迫られたときに、適切な制度を見つけられるのだろうか?私は全くダメでした。
ひとさまのところの引用ばかりでなく、自分のブログのエントリーにしたこともあったんだった。国の助成金を、個人事業者が申請しても「当たる」ことがあるらしい、という旨のこと。なお自分では、あれから何もしてません。すみません。
http://watto.hatenablog.com/entry/20080201/p1
今回はリンクの引用がやたらと多くなったが、開き直って、毎度驚異のuser数を誇るfromdusktildawnさんのところから、何ヶ月か前のエントリーだけど。
ワーキングプアは見捨てられ、生活保護リテラシーの高い人間が受給できるという二重基準」
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20080308

親子4代続けて生活保護で生活している、
いわば、「生活保護受給のプロ」
のような人たちがいます。
彼らは、高い生活保護リテラシーを持っていて、それを代々受け継いでいるようです。

生活保護リテラシー」というのは確かに「極論」だと思うけど、fromdusktildawnさんの造語を真似れば「助成金リテラシー」の高い人なり会社なりというのは、世の中にいくらでもあるんだろうと思う。
またそれが政治家の「集票力」みたいなものに利用されている部分もあるのだろうか、と想像したりすると、あまり愉快ではない。
そうそう、映画『靖国 YASUKUNI』は、国の助成金を受けているという理由でどっかのバカ週刊誌とバカ議員がイチャモンをつけたんだった。『靖国 YASUKUNI』の場合はかえって宣伝になったけどね。問題は政治家とか権力者の「干渉の道具」になりうるということだ。
いずれにしろ、なにごとも「知る」ことから始まる。私の「助成金リテラシー」つか世間知みたいなものは、2ちゃんで生活保護世帯をベンツ乗り回すと決め付けてこきおろす名無しさんと五十歩百歩である。評価を下すとしたら、もうちょっと知ってからだ(ぶっちゃけ自分がもし漁業者だったらどこの役所に行けばいいのか、自分がもし映画を撮りたいと思ったらどんな書類を書けばいいのか、ということです)。
それにしても、助成金システムの全体像の見えづらさと周知度の低さに関しては、現時点でも一言ぐらい文句は言っておきたい気もするが。
追記:(8/4)
週刊金曜日』8月1日号の「諫早湾干拓 裁判所に命じられても開門を先送りする農水省」という記事によると、諫早湾のいちばん条件のよい干拓地が貸し付けられているのは、自民党谷川弥一農水政務官の長男と、金子原二郎長崎県知事の長女の夫婦が経営する農業法人なのだそうだ。また諫早訴訟の原告団に加わっている漁業者に対しては、振興策(補助金)が打ち切られるそうだ。
こういう記事を読むと「さもありなん」という気がしてしまうところが、つらい。制度を細分化しわかりにくくしているのは、政治家や官僚の恣意が介在できる部分を大きくするのが目的だろうかと、つい勘ぐってしまう。もし「助成金リテラシーが高い」というのが「政治家や官僚とつながりがあること」と同義であれば、やんぬるかなではないか。

*1:生活保護が必要な生活レベルの世帯で実際に生活保護を受けている比率