🍉しいたげられたしいたけ

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理想のサービスは空気と同じ

季節工生活、終わった!いや、仕事自体は先月末でだいたい終わっていたのだが、残務処理をちんたら続けていた。それもようやくキリがついた。
これを機にpya!の全更新チェックを復活させようかと思ったのだが、新レイアウトに慣れるのにちょっと時間がかかりそうだ。そういえばmixiも、デザイン変更のたびにどうも評判があまりよろしくないようである。
サイトに限らず、よいサービスというものは「空気のようなもの」だと思う。なければ困る。しかし「ある」ということを意識させられるのは、息苦しいことである。
ところがここに落とし穴がある。「空気のようなもの」だということは、快適な状態にあるときには、その存在自体が、つい忘れられがちだということだ。存在が意識されにくいということはつまり、評価の対象になりにくい、褒められにくい、ということだ。
空気と違って、サービスには提供者がいる。提供者側としては、その存在が忘れ去られるということは、困ったことになりかねない。競争相手である他のサービス提供者にお客さんを奪われるかもしれないという危機感と常に直面しているサービス提供者は、自らが提供するサービスのリニューアルを常に義務付けられている存在だが、そのリニューアルをアピールするために最も安易な方法というと、インタフェースの変更である。
リニューアルとインタフェースの更新はイコールではない。しかし、とくにサービス提供者の側では、この両者が混同される傾向がなきにしもあらずである。
だがインタフェースの一方的な変更は、まずもってよい評判を呼んだだめしはない。ユーザにとっては慣れ親しんだインタフェースのほうがいいに決まっている。しかしインタフェースの変更がないと、リニューアルに気づかれにくくなる。これはジレンマではないか。
わりと最近、Firefox3の大ヒットという珍しい(?)例があった。周知の通りバージョンアップに際して大幅は処理速度の向上が図られたが、基本的なインタフェースの変更はなかった。
思うにこれは、ライバルであるIEの6→7というバージョンアップの悪評が一枚噛んだ現象だったのではないかという気がする。Firefoxにはプラグインという資産を継承するためインタフェース変更に縛りがあるという消極的な事情もあろうとは思うが、もしIEの「敵失」がなかったら、Firefox3もこれほどクローズアップされなかったかも知れない。検証のしようはないけど。
地道な改良が成果をあげつつ、それが目だっては評価を受けていないんじゃないかという事例として、他ならぬこの「はてな」のブログサービスが思いつく(「はてな」だけでなくどのブログサービスも、日々システムの改良にいそしんでいることと思うが、他のサービスは利用していないのでよくわからない)。
「はてな」には限らぬが、たいていのブログサービスは、レイアウトをユーザが選択するシステムなので、インタフェース変更には縛りがある。
改めて考えると、「はてな」の場合、ユーザを「はてな」の提供する新サービスに巻き込む方法が、実に自然で巧いなと思う。たとえば「リンク元」と称してrefererのURLが表示される(弊ブログの設定では「コメントを書く」をクリックすると見える)。ここに「はてなブックマーク」や「hotentry」のURLが表示されることにより、「こんなサービスが始まったんだ」と初めて気づいたユーザは私一人ではないはずだ。
好き嫌いは分かれるが、「はてなスター」も地味にすり寄ってきた新サービスだ。
何日か前のエントリーで「○○オタが非オタの彼女に○○を軽く紹介する…」を取り上げ、「はてな」発の流行とは珍しいと書いたが、「はてな」発の流行が出現したことは、ひょっとしたら偶然ではなく「はてな」スタッフのシステム改良の成果が一つの目に見える形に実を結んだものかも知れない。
しかしユーザ側がその理由に気づいて肯定的に評価することは、かなり難しいような気がする。インタフェースの変更を「改悪」だと叩くことは、こんな容易なことはないんだけどね。
もう一つ、ネットでごく最近爆発的な話題になっている新サービスに、googleの「ストリートビュー」がある。ご多分に漏れず私も大ハマリしている。
いろんな人がいろんなことを論じている。しかし、「googleマップ」という既存のサービスへの連結のスムーズさを積極的に評価する意見は、あまり見た記憶がないのだが、どうだろうか?従来のインタフェースに加えられた変更点は、「ストリートビュー」というボタン一つの追加だけ。このボタンを手がかりに、日本中で何万人がこの新規サービスにのめり込んで睡眠不足になったかは、想像するだに空恐ろしいものがある。これを発案した設計者や最終的な採用の決定を下した責任者のセンスは、恐るべきものではないかと思うのだが?
かく言う私も一人のサービス業者である。その事業規模は、本エントリーで言及したどのサービスに比べても、比べものにならない零細な規模なのだが(なにせ自分一人と、たまにアルバイトを頼む同業者さんが一人だけ。年商は言わぬが花)。それにしても、悪いところを見つけて叩くという容易な態度に安住するのではなく、他人があまり評価しないいい点を見つけてそれに学ぶという多少は努力を要する道を選んでいかないと、たぶん生き残っていくことはできないんじゃないかという予感がするのである。
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