しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

読売新聞京都総局『京都 影の権力者たち』(講談社)

京都 影の権力者たち

京都 影の権力者たち

私は単行本で読みましたが、amazonで調べるとそっちは品切れで、文庫版が出ています。
別の本を読んでいるのだが、ちょっと浮気して手に取ったら一気に読めてしまった。どの本を読んだときだろう、以前にも「新聞記者の書いた本は読みやすい。特に読売新聞の記事をまとめた本は読みやすい」と思ったことがある。読みやすくするためのいろんなトレーニングを積んでいるのだろうか?読みやすいことはいいことなので、そのテクニックを盗めるものなら盗んでみたい。
ただし、読みやすいがゆえにかどうか、サラっと読めてしまって印象には深く残らない。「影の権力者」というおどろおどろしいタイトルとは裏腹に、仏教界・芸事の家元・花街衆(花柳界)・老舗・共産党など、京都で強いと言われる勢力が、いかに地元に根を下ろし受け入れられているかをルポしている。告発の書ではない。
どうかと思う箇所もある。「第三章 花街衆」で、金を持っているだけの実業家を追い返して「金のない京都大学の学生を出世払いで遊ばせたというたぐいのエピソードは数々ある」(単行本p100)という部分がある。私も7年ほど京都に住んだことのある身。一万人を超える学生を抱える京都大学には、「受験秀才」という以外に何のとりえもないんじゃないかとしか思えない学生が、なんぼでもいることは知っている。一方で追い返されたという実業家が、親の資産をただ譲り受けただけのボンボンというならともかく、裸一貫から身を起こした企業家であれば
実業家>>>>京都大学の学生
なんじゃないのかね?
(書いてから思ったのだが私も間違っている。そもそも「実業家」とか「京都大学の学生」とかステロタイプで判断すべきじゃない!)
本書は「京都」というタイトルがキャッチーだというだけで、地元民にも普段はなかなか実態の見えない伝統と権威を持った一大勢力は、どこの地方にもあるだろう。例えば私の住んでいる愛知県では焼き物とか。本書をお手本に、そういうのを調べてみたり、学校の先生であれば生徒に調べさせてみたりすると面白いかも知れない。ただしそれを本にしても売れるかどうかは知らない。
追記:(12/2)
うーん、エントリーを書いてから後味の悪さが尾を引いている。つかはっきり言って後悔している。実業家と学生を引き比べたくだりである。
がんばっている学生はいくらでもいるだろうし、親の資産を受け継いでも必死で経営をしている実業家も星の数だろう。そもそも人間を適性や能力で評価しなければならないことはあっても、「値踏み」みたいなことはしちゃいけないのだ!なんでそんな当たり前以前のことを忘れていたのだろう??
まあいいや。私はこれまでの人生で「お座敷」などに上がったことは一度もないし、これからもないだろう。なにせびんぼ〜人のこと、「花代」だけで自分の何日分の、いや、何十日分の生活費になるかわかったもんじゃない。そんなところに近寄るもんか!かりに今後もし、私がすっげ〜金持ちになることがあったとしても、「もやい」や「ペシャワール会」の寄付金に充てるよ、マジで!
(あ、恥ずかしいほど微々たる額ですが、今でも寄付はしています)