しいたげられたしいたけ

拡散という行為は、元記事の著者と同等以上の責任を拡散者も負う

中島らも『こどもの一生』(集英社文庫)

こどもの一生 (集英社文庫)

こどもの一生 (集英社文庫)

戯曲のノベライズ。本文約400ページと文庫にしては厚いほうだが、一気に読めてしまう。喜劇のように始まって、後半で「ある人物」が登場すると、俄然ホラーになる。
作者自身お気に入りのコンセプトらしく、作者がエッセイの中で自らネタバラしているのを読んだ記憶がある。巻末のあとがきに相当する『Making of 「こどもの一生」』でもネタバラしているので、これから手に取る人は後ろから読まないよう要注意。
その『Making of 「こどもの一生」』より。

この芝居の初演の日、おれは客席の後方で見ていた。最初から三分の二はとても娯〔たの〕しい、笑いに満ちた芝居だ。それが三分の二を過ぎた時点で笑いの要素の全てが恐怖へと反転する。と、前の席にいた女の子が隣の子を突ついて、
「どうしょ、これ、怖いやん」
と震える声で言った。
「やった!」おれは小躍りしそうな喜びに包まれた。これ、この反応が欲しかったのだ。

(p409〜410)
できれば舞台を予備知識なしに観たかった。怖がった女の子がうらやましい。