🍉しいたげられたしいたけ

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高橋尚夫・西野翠訳『梵文和訳 維摩経』(春秋社)

梵文和訳 維摩経

梵文和訳 維摩経

読んだのは少し前だが、こちらにも触れておこう。1999年7月の世紀の大発見、チベット・ポタラ宮で1000年以上失われていた『維摩経』のサンスクリット原典が発見されてから10余年、ようやく現代語訳が次々刊行されている。植木訳ではなくこちらを手に取ったのは、こちらの方が刊行が少し早かったのと、また値段が比較的安かったからだ。
原典は研究者にとっては汲めど尽きぬ研究課題の宝庫であろうが、一般の仏教ファンにも、いろいろと楽しみを与えてくれる。
例えば病床にある維摩居士を見舞った文殊菩薩・舎利弗尊者ら一行に、「香飯」という文字通り香り高い昼食をふるまったのは、我らが娑婆国土の上方四十二恒河沙仏国土を越えたところにある「一切香妙香世界」というところに住む「最上香積如来」という仏様だが、この仏様の名前はサンスクリット原典では「ガンドーッタマクータ」とおっしゃる(p168)。
ところで浄土教系の檀家ではおなじみの読誦経典『阿弥陀経』には、上方にまします諸仏の三番目に「香上仏」という仏様が登場するが、『浄土三部経〈下〉観無量寿経・阿弥陀経 (岩波文庫)』p131によるとサンスクリットでは「ガンドゥーツタマ」というのだそうだ。「クータ」=「積む」?知らんけど。
さらに、維摩居士の病室に高さ340万ヨージャナ(=2380万km!)もあるとんでもねー巨大な「師子(獅子)座」という椅子を提供したのは、娑婆国土の東方三十六恒河沙仏国土の彼方にある「須弥相(メールドゥヴァジャ)世界」に住む「須弥燈王(メールプラディーパラージャ)如来」という仏様だが(P111)、『阿弥陀経』には東方にまします第二仏として「須弥相(メール・ドバジャ)仏」、南方にまします第四仏として「須弥燈(メール・プラディーパ)仏」の名が挙げられている(『浄土三部経〈下〉』P127〜128)。ラージャ=王はさすがに知っている。マハー・ラージャ=大王だ。
惜しいな!(何がだ?)
浄土三部経〈下〉観無量寿経・阿弥陀経 (岩波文庫)

浄土三部経〈下〉観無量寿経・阿弥陀経 (岩波文庫)