しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

マンガ2冊

しりあがり寿『あの日からのマンガ』(ビームコミックス)

あの日からのマンガ (ビームコミックス)

あの日からのマンガ (ビームコミックス)

amazonでしばらく新刊品切れだったけど、なんでだろう?版権か何かのトラブルがあったのかな?
GW中の朝日新聞夕刊『地球防衛家のヒトビト』に、4コマ全部が瓦礫という印象的な回があって、スクラップに残しておきたいと思ったのだが、今年のGWはなんだかバタバタしていてつい失念してしまった。本書でやっと再会できた(P53)。
『地球防衛家…』の「出動中」と題したシリーズを中心に、いくつかの短編がまとめられている。日頃、新聞マンガでしか読まないのですっかり忘れていたのだが、しりあがり寿は「実存的」というと古臭い表現になってしまうが、存在することが不安になってしまうような作風の持ち主だったのだ!本書でいうと、なぜかイカダに乗って川下りをしている双子のオヤジとか、擬人化された原子炉の中の放射性物質たちとか…
家族の誰が読むかわからない新聞マンガでは、マンガ家の持つ「毒」がみごとに「解毒」されてしまうという指摘をした評論家がいたっけ。うちは朝日だから朝日の例で言うと、朝刊のいしいひさいちはずいぶん前から壊れているのだが、その壊れっぷりを楽しみたいと思ったらやっぱり『ののちゃん』では食い足りないと感じるし、be(土曜版別刷り)や『週刊朝日』の山科けいすけは、持ち前のアナーキーな凶暴性をずいぶんと抑制している。
これは朝日に限ったことじゃなく、『コボちゃん』の植田まさしから出世作フリテンくん』『かりあげクン』の植田まさしを想像するのは困難だと思うし、『あたしンち』のけらえいこは実はすげ〜すけべえなマンガも描けるのだ。

伊藤理佐『おんなの窓』<2>、<3>

おんなの窓〈2〉

おんなの窓〈2〉

おんなの窓 3

おんなの窓 3

3冊か。
旦那さんの吉田戦車描く『まんが親』がすごくよかったので、奥さんの伊藤理佐視点のマンガも大いに楽しみにさせてもらおうと以前ブログに書いたことがある。
http://watto.hatenablog.com/entry/20100323/p1
しばらく忘れていたが、なにかのはずみに思い出して「そういえば理佐タンは今なにをしているのだろう?」と検索したら出てきたのがコレ。『週刊文春』と『オール讀物』で連載を持ってたのか!すごい!つか私のアンテナ低い!
2巻で結婚して、3巻でご懐妊。単行本ではまだ出産には至っていない。ちなみに私は1巻は未読。
『まんが親』に登場する伊藤理佐は本書に登場する自画像より美人に描かれているし、逆に本書に登場する吉田戦車は『まんが親』の自画像よりカッコ良く描かれているのが、なんとなくとても好感が持てる。
ちなみに本書の吉田戦車は関白のようだが、『まんが親』ではどう見ても奥さんの方が強いっぽいというのも、微笑ましい。
3巻p42〜の、披露宴がわりに双方の家族だけで「食事会」をしようということになったというエピソードが、一番好きかな。
ホテルの担当者さんに「再婚同士で」「若くもなく」「もう結婚して一年もたっていておめでたい感じでもなく」…と説明をして、ただの食事会にしたいと意思疎通したつもりだったのだが、「披露宴」という強力な引力圏にみるみる引き寄せられて…という経緯の描写が見事の一言。
自分にそんな経験があるわけがないのに、なんで「あるある!」「ありそう!」と共感できるのかというと、たとえばふらりと足の向くままの旅に出ようとしたのはいいが、「観光地」からのいろいろと強力な引力に引き寄せられて気がついたらただの「観光旅行」…みたいな経験だったらあるからなのかな?他にもっといい類似例があるかも知れない。人間はパターンというものにからめ捕られやすいのだ。
P45のオチの一コマが最高。未読の読者の楽しみを奪わないために詳細はあえて書かないが「言われてみれば確かにそうだ」と大いに吹いた。