しいたげられたしいたけ

期間限定トップ「肌の色や出自や信仰の違う他人を、憎むように生まれついた人間などいない」ネルソン・マンデラ rt by バラク・オバマ

お金持ちの話

名古屋に資産家のおうちの知り合いが二家族ほどあって、特にそのうち一軒とは、食事に招かれたりわりと親しくしてもらっていた時期があった。自分の土地にマンションを建てて最上階に住み、今ぐらいの時期には「確定申告の時期になると、毎年憂鬱だわねぇ…」などとこぼしていた。
ビル経営はお金持ちの資産運用の典型のように言われ「ビルの数だけ億万長者がいる」という言葉も知っているが、実は資産運用としてのビル経営は時代遅れ気味なのだそうだ。
慢性化した不況のため都心部のビルでも空き室が目立ち、空き室があるとビルの利益率は激減する。しかし賃貸料はなかなか下がらない。下げると元からいるテナントから文句が出るからだそうだ(そりゃそうだろう)。だから新しいビルからテナントが埋まる。同じ賃貸料を払うなら、新しい建物のほうがいいに決まっている。
またビルには耐用年数というものがあり、建て替えにはえらいエネルギーがかかる。一時的とはいえテナントに出てってもらわなきゃならないし。
じゃあ何がいいかというと、幹線道路沿いの田んぼを造成して平屋建ての上物を乗っけ、ショッピングセンター・ファミレス・ファストフード店みたいなチェーン店を持ってくることなんだそうだ。
ソースは俺。今回は「知り合い」どころじゃなく至近距離に爆撃をくらって内心けっこう動揺しているのだが、例によってつか今回は特にプライバシー自衛のため、詳細を書くわけにはいかない。
田んぼであればどこでもいいというわけではなく、市街化区域で幹線道路沿いでなければ意味がない。また幹線道路にしても、中央分離帯はないほうがいいとか、四つ辻の一角だと特にいいとか、いろいろと条件があるらしい。
情報主は親の田んぼを相続したのだが、その田んぼがどんぴしゃその条件にあてはまっていたんだそうだ。
それで開発業者にあたってみたところ即座に反応があり、あっというまに十指に余る業者が動き出して、田んぼに山土を入れてU字溝を埋めアスファルトを張って、あれよあれよというまに、とあるチェーン店を建ててしまった。
もっとも他人から見たら「あれよあれよ」だが、情報主に言わせると「自治体の開発許可が下りるのにえらく時間がかかった」そうだが。
でもって地代収入が月にン十万。えい、書いてしまえ!65万だそうだ。これが純然たる不労所得である。
なにそれ…?
これも情報主に言わせると「うちは田舎だから少ないほう」とのこと。なにを贅沢な!半分よこせ!いや一割でもいいからくれ!
ちょっとまとめると、平屋建ての上物、駐車場付き、チェーン店、というのがポイントのようだ。あの手のチェーン店は三浦展言うところの「ファスト風土」の主役であるが、ああいう店の敷地はみな借地なんだそうだ。土地を取得すると固定資産税がかかるが、賃借なら経費で落とせる。ビルを建てるよりは身軽さも全然違いそうだしね。チェーン本部、開発業者、地主の利益が一致しているからこそ、日本の国土の「ファスト風土化」がとめどなく進行しているのだろう。
これで世の中を見る目が、また一つ違ってしまった。これまではビルの数だけ億万長者がいると思っていたが、チェーン店の数だけの億万長者もいるのだ。考えてみるとファスト風土の主要キャラって、数限りないよね。「ユニクロ」「しまむら」みたいな洋品店とか、「ツタヤ」みたいなレンタルビデオ店とか、ケータイショップとか、ドラッグストアとか、「ブックオフ」みたいな古書店とか、カーディーラーとか…要するに平屋建ての上物と駐車場を持っているところは、どれも該当しそうだ。コンビニだけは、フランチャイジーのオーナー経営者が多いそうだけど、どうなんだろう?
ただし土地さえあればどこでもいいというわけではなく、上のほうに書いた条件に合わなければNGで、情報主は住宅地に生活道路に面した遊休地も所有しているが、そっちも業者に頼んで情報を流してもらっているけど借り手は見つからないそうだ。使わないなら俺にくれ!(しつこい
開発業者の名刺を私にもくれたけど、どーせいっちゅーねん?誰かほしい人いますか?
他人の目から見たら結構なことづくしのようだが、所有者としては心配のタネは尽きないようで、せっかく来てくれたチェーン店の売り上げが伸びなくて撤退されることが一番怖いんだそうだ。なにせ農地と商用地では、固定資産税が100倍くらい違うんだそうだ。
「一番いいのは今のチェーン店にずっと使ってもらうことで、もし撤退されて次の借り手が見つからなかったら、手放すしかない」とのこと。ただし造成は業者がやってくれているので、田んぼのままで手放すよりは、よほど条件はいいんだそうだけど。
元の田んぼの資産価値も聞いてみた。「まあ、億だな」とのことであった。
なんとなく納得した。
資産家とそれ以外を分ける目安が一億だという。どうも資産が一億を超えると、資産が資産を生み始めるようだ。
また資産家と言っても上限は限りないというのも納得がいった。一億の資産が仮に年に元本の数パーセント、数百万の価値を生み続けるとしたら、単純計算すれば百億の資産は年に数億の価値を生み続ける。
さらにスケールメリットが加わるだろう。チェーン店が情報主に提示した月65万円の地代は言い値だったそうだが、ということはチェーン店はそれだけの地代を払える利益を予測したということだ。チェーン店本部は、そのような店を何十軒、何百軒と建てて経営している。チェーン店本部には株主という名のオーナーが存在する。資産家は対数目盛グラフの分布になるのだ。
一言でいえば「金持ちはますます金持ちになる」仕組みの一部を垣間見た気がした(-_-;
蛇足ながらもう一言、情報主の税務署や税金に対する憎悪がひとかたではないのにも驚かされた。ネットでは新自由主義だとか橋下市長だとかの熱烈な支持者をいくらでも見かけるが、ひょっとしたらそうした論者は、情報主のような資産家なのかもしれない。よく「1%と99%」と言うが、日本の人口は多いので1%と言ってもすごい数になる。
尻馬に乗っている貧乏人、いわゆる「肉屋を応援するブタ」もいるだろうけどね。