しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

ポシャった商談の話

我々の住む現代日本社会では、おびただしい企業がガッチリ連携してモノを作り世の中を動かしている。んな事ぁサラリーマン時代から百も承知だったはずだが、実際に目の前で田んぼが山土で造成され基礎工事が始まりあれよあれよという間に郊外型チェーン店ができてしまう過程を目撃すると「この業者の連携の中に、自分が割って入る余地は一つもないんだなぁ…」という寂寞とした疎外感を感じてしまい、書かずもがなのエントリーを何度かにわたって書いてしまった。
たぁ言うものの、私もかろうじて糊口をしている以上は、世の中とのつながりが皆無ってわけではない。
顔見知りの人材登録業の社長がいる。社長と言っても限りなく個人事業主に近い。この人からたまに商談が入り、ごくたまにそれが成立して副業を斡旋してもらうことがある。改めて考えてみたら、実際に商談成立して斡旋してもらった副業は一件だけか…それでも貴重なご縁ではあるが。
実は、私が法人成りを検討していた時期と、この社長が脱サラ独立して会社を設立したのは、ほぼ同じ時期であった*1。どうでもいいことだが、2月14日のエントリーに、銀行にはメガバンクから信金・信組まで厳然たるヒエラルキーがあって、個人事業主は信金・信組じゃないと相手にしてくれないと書いたが、実際には「規制緩和」以来そのルールは緩んでいるんだそうで、この社長は法人成りするときに、三菱東京UFJ銀行の旧東海銀行本店にあたる支店で口座を開設し、そこで登記に必要な預金証明書も発行してもらったと言っていた。「こんな見栄の張り方もあるのか」と、ちょっと感心した。と同時に「無意味な見栄を張る人もいるもんだ」とも思った。メガバンクが個人事業主のところに、地元の未上場企業の社債の情報を持ってくるか?本当は信金・信組も持ってきちゃいけないんだけど、そこはそれ。あと土地売買の話とか、相続税対策にと一時払い生命保険の話も持ってくるらしい。持ってきてもらっても、どうせ買えないんだから同じなんだけど^^;
閑話休題。今回その社長からもらった話は「スマートフォン講座をやりませんか?」との相談であった。その社長自身がスマホにえらくのめり込んでいるということもあるが、今年の初詣に行ったときに、拝殿前の長〜い行列に並んでいるとき暇に任せてスマホをいじっていたら、隣にいた定年過ぎと思われる男性から、「それ、簡単ですか?」とかスマホのことをあれこれ聞かれたんだそうだ。
それで「これはいける!」と思ったらしい。
ITに詳しそうな人、ということで私のことが思い浮かんだんだそうで「wattoさん、スマホ講座の講師をやる気はありませんか?」となった次第。
「あの〜、私ゃスマホやってないんですが」これはさすがに言った。はっきり言った。
しかし件の社長、食い下がるのだ。YouTubeを見せて「こんな音楽が検索できるでしょ」でもってダウンロードアプリを使って保存すると、いつでも再生できるようになって…こういうことが年配の人でも簡単にできることをアピールすれば…云々。
まあそりゃそうなんでしょうけど、私が今からスマホ始めて、カリキュラムを書いて講座をスタートするとしたら、助走期間がちょっと長くなりすぎやしませんか。大体私はスマホには興味がないし、携帯に比べて基本料金がアップするだけでもあんまりありがたくない。
ちょっと思い当たることがあった。別の社長さんで、地域プロバイダを経営している人にも知り合いがいた。インターネットが普及し始めたころには中小のプロバイダがいっぱい起業したが、今に至るまで生き残っているちょっと根性のある業者さんである。
私より適任の人がいるかも知れないからと、なんとかその場はしのいで、後日、別の社長さんのほうにスマホ講座の話をしてみた。
「ITバブルの時代の『夢をもう一度』ってことですかね?」
話がすっと通じた。わかるわかる。あの頃には私もけっこう美味しい思いをさせてもらったことがある。パソコン講座一回で報酬ン十万とか、今にして思えば暴利としか思えないようなこともあった。ソフトや機材を買い込んで、あっという間に時代遅れにしてしまったから、お金は全然残せなかったが^^;
うまい具合に地域プロバイダのほうの社長さんは、請われてスマホ関係の講座をやった経験があるとのことであった。ただしセキュリティ関係の話で、さきの人材登録のほうの社長さんが言うような入門講座ではなかったが。
「やってみて、アンドロイドは素人が触るものではないということがわかりました」
セキュリティが問題だらけなんだと。わかるような気がするわ^^;
またしても話がずれた。地域プロバイダの社長さんの連絡先を、人材登録の社長さんに教えていいか、と尋ねてみた。すり合わせが可能かどうかはわからないけど、とりあえず顔合わせをしてすり合わせを図ってみてほしい、私はカリキュラムまでは作れないが、カリキュラムができていれば講師としての実働部隊としてなら役に立てるかもしれないから、という話をして。
すんなりOKが出た。経営者はこういうチャンスを大事にするのだ。その時に結果が出なくても、後になってからこういう人脈が生きてくることは、いくらでもあることなのだから。
これが先月くらいの話。
今月に入ってすぐぐらいに、人材登録のほうの社長さんから連絡があった。
結局、スマホ講座は保留とのこと。すでに首都圏などで開講されている講座の費用を調べてみたところ、少なくとも単独開催の講座としては、コスト的にとても折り合えるものではなかったそうだ。
例えばキャリアと提携して拡販のイベントとして開講するとか、既存のパソコン教室の一講座として開講するとかじゃないと、とてもダメらしい。
あと、若い女性のインストラクターを揃えて、おじさんの関心を引き寄せようという講座もあるらしい^^;
いや、笑いごとではない。そうやって需要を掘り起こすのは、大事なことだと思う。
そんなわけで、スマホ講座の話は立ち消えになった。「夢よもう一度」とはいかなかったようだ。
それはそれでいいんだけど、物足りないことがあるとしたら、人材登録の社長さんは、一度ぐらい地域プロバイダの社長さんと実際に面談しとくべきだったんじゃないかなと思ったことだ。一時期とはいえあれだけのめり込んでいたんだし、それに今回は実を結ばなくても、意外なところでつながりが物を言うかもしれないのだから。
まあ他人のアラは見えても、自分のことは見えないものだ。チャンスがないチャンスがないとぼやくんだったら、自分に足りないものは何だろうかと、真剣に反省すべきだとは思うんだけどね^^;

*1:会社法が改正されて、いわゆる「一円起業」が可能になった時期である