しいたげられたしいたけ

期間限定ブログ説明「肌の色や出自や信仰の違う他人を、憎むように生まれついた人間などいない」ネルソン・マンデラ rt by バラク・オバマ

浮世絵を鑑定してもらった

母親が、2年ほど前に亡くなった父親の遺品だといって、浮世絵を十何枚か見せてくれた。
すいません、弊ブログはプライバシー自衛の見地から、個人の特定につながりそうなことは極力書かないようにしています。だから父親が亡くなったこともエントリーにはしませんでした。「生活が激変する大事件が発生」なんて書き方をして、ほのめかせたことはありますが。
でもってこの母親が、もともと「天然」タイプだったのが未亡人になってフリーダムっぷりにさらに磨きがかかり、スーパーで試供品をつまみお供した私にも一切れくれたのはいいが、そのはずみに残りの試供品をトレイごと全部ひっくり返すくらいはお手のもの、といった調子である。やれやれ…(-_-;
話を戻す。母親が持ち出してきた浮世絵はどれも、A4を縦に少し引き伸ばしたほどのサイズで、役者絵や美人画などの人物画だ。国芳という銘が見えるものもある。和紙だということはわかるが、相当に劣化していて、裏返すと穴が開いていたりシミが広がっていたりするのが歴然とわかる。端の方は折れ曲がってクタクタだ。
なによりツンと鼻を突くナフタリン臭。防虫のつもりだそうだが、セーターじゃないんだし、いいのか?
父親は本物で価値があるものだと言っていたそうだが、わかったものじゃないとのこと。印刷かも知れないとの由。百円ショップで額縁を買ってきて飾ろうかなんて言っている。
さすがに百円ショップの額縁はどうかと思ったが、私には浮世絵の知識などない。つか浮世絵に限らず美術品の鑑定などできるわけがない。
母親は『開運!なんでも鑑定団』というテレビ番組が大好きだが、まさかテレビ番組に応募してクルーが来るのを待つわけにもいくまい。
ネットで美術品の鑑定をしてくれるところを検索。実家から高速道路に乗ってインター2つ目くらいのところに「鑑定無料」を謳う古美術商があるのを見つけた。
ネットは、モノにもよるが、こういう時は頼りになるよね。ネット世論とかだとまるで信じるに値しないけど。
電話で予約をして、都合のついた休日に、浮世絵と母親を車に乗っけて古美術商へ。
年配の店主、手早くぺらぺらと浮世絵をめくる。このしぐさをみて「あダメだなこりゃ」と思った。
曰く「本物です。ただし保存状態が悪いので、価値は高くありません」
なんでも浮世絵は版画だから同じものが何枚、何十枚と残っているので、保存状態がいいものから高い値がつくんだそうだ。
店頭に並んでいる浮世絵は、どれも和紙の色が淡いアイボリーで、見るからに美品といった感じだ。
父親が切り抜いておいたのだろう、国芳の古い新聞記事が挟まっているのを見つけて「これなんかが見つかると、いい値がつくんですけどね」と店主。
他にもいろんなことを教えてもらった。浮世絵は三枚一組で横に並べて一つの場面になるものが多いとか、保存の際にはナフタリンは紙を変質させるのでやっぱりまずいとか、虫よけには文房具屋で奉書紙というものを買ってきて、半分に折りたたむとちょうど浮世絵一枚のサイズになるから、それに挟んでおけばまず大丈夫とか…
肝心の(でもないか?)評価額だが「全部で3万円」とのこと。
3万円にもなるのかというべきか、父親の自動車を処分したのが5万円にもなったから、そういうのと比べれば安いと言うべきか…
どうせ私には美術はわからないし、私がもっとも美しいと感じるもの、すなわち天然自然の美は、値段がつけられない文字通りのタダである。
所有者である母親に言わせると「飽くほど見て、見飽きたら処分しよう」とのことであった。こりゃこのまま忘れ去られるな。まあいいけど。
奉書紙なるものは、文房具屋で尋ねると、簡単に買えた。
帰宅した後、母親が今度はどこからか古い紙幣を持ち出してきた。
一円札が一枚。描かれている肖像は、ネットで調べると二宮尊徳だそうだ。それから板垣退助の百円札が何枚か。どれもボロボロだ。
値打ちはないかと尋ねられた。あの〜、紙幣は浮世絵よりもさらに大量に流通しているから、希少価値はさらに低いと思うんですけどと説明したが、納得してくれない。ネット価格を調べて、どちらも美品で一枚二百円程度というのを見つけて画面を示したが、まだ何かぶつぶつ言っている。
話にオチをつけようとかいう意図は一切なく、以上はまぎれもない事実なのだ。だれか何とかしてくれ!