しいたげられたしいたけ

弊ブログでいう「知的」云々は「体を動かさない」程の意味で「知能の優劣」のような含意は一切ない

災害ボランティアは不眠不休でなんか働いていません

ネットでbuzzってる話題に乗っかります。9月に大規模な水害に見舞われた茨城県常総市において、市議会で市職員の残業込給与が100万円を超えたことが取り上げられたことが一部で報道され、質問内容が残業代の抑制を要求するものだったかどうか、それを伝える報道が適正だったかどうかが、ネット上で議論になっています。

質問の書き起こしがBuzzNews.jpに上がっていました。

www.buzznews.jp

 その中に、こんなくだりがありました。

まぁ本当にそれも致し方無いことだと思っておりますけれども、実際職員に対してはやはり残業代はカットした方がいい、もらわないで頑張って欲しい。なぜならばボランティアに来ている方達は残業代はないじゃないか、と。ボランティアの人達は無償で不眠不休で働いているじゃないか、と。

そういう中で市の職員が残業代をもらうっていうのはどうなのか。こういう厳しい意見もあることは事実です。

残業代支給の是非、報道の適正・不適正は論じません。今回のエントリーは、以下の一行のみを論じます。

災害ボランティアは不眠不休で働いたりなんかしません。少なくとも私は、そんな働き方をしているボランティアを見たことがありません。

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災害ボランティアは年に一~二度、出かけます。ボランティアセンターにはだいたい数百~千人単位の人が集まります。この数字は、人気スポーツの観客数やメジャーなアーチストのコンサートの動員数に比べると、一桁か二桁、少ない数字です。だから「ボランティア」という言葉の認知度が比較的高いのに比べて、災害ボランティアが具体的にどんなことをするのかをイメージできる人の数は、スタジアムはどんなところか、コンサートではどんなことをやってるかをイメージできる人の数に比べれば、ずっと少ないのではないでしょうか? そんなわけで、あくまで私の見聞きした範囲のことを書いてみます。

 ボランティアに出かけた記録は、主に「はてなダイアリー」の方にレポートを上げています。写真はそちらに掲載したものの再掲です。

そもそも何で私が災害ボランティアに行くのかですが、まず「乗り鉄」の傾向がある面が否めないと思います。同じ鉄道に乗るにも、何か目的があって乗った方が乗り甲斐があるという、あまり他人の理解を得られなさそうな理由が第一に来ます。

これは今年の9月に常総市に行ったとき http://watto.hatenablog.com/entry/20150915/p1 に乗った「つくばエクスプレス」…

去年(2014年)の11月に白馬村に行ったとき http://watto.hatenablog.com/entry/20141128/p1 のJR大糸線

同じく去年の8月に行った福知山 http://watto.hatenablog.com/entry/2014/08/22/085611 の帰りに京都駅で撮った「特急きのさき」と「特急まいづる」の連結部の写真です。

もし「ボランティアは何か純粋なもの」みたいな幻想を抱いていた人がいたとしたら「あっ…(察し)」と幻想をブチ壊す効果を期待しての再掲です。

前述の通りボランティアセンターには千人単位の人が集まります。参加した動機は、一人ひとり違うのは当然なので、あくまで個人の見解です。念のために。

目指すところは、自治体が設置した災害ボランティアセンターです。

常総市(2015.9)。常総市心身障害者センターの場所を借りて開設されたとのことでした。

白馬村(2014.11)。村役場に併設でした。

福知山市(2014.8)。市内の三段公園というところに開設されていました。市の施設の武道館というところも使っていました。

ここで強調しておきたいのは、ボランティアセンターの開設は自治体によるもので、ボランティアセンターのスタッフは自治体職員なんです。スタッフがいてコーディネートすなわちボランティアを要望する住人とボランティアのマッチングを行ってくれないと、ボランティア活動が成立しません。

ボランティアセンターは、だいたい10:00a.m.~4:00p.m.が活動時間帯です。この時間帯の中であれば、いつ行ってもOKです。私の場合どれも朝イチに出発して現地着が11:00a.m.過ぎになりました。半日にも満たない短い活動時間です。

一方、ボランティアセンター詰めの自治体職員の方々は、ボランティアセンターの活動時間帯をカバーするためフルタイム勤務になります。住人の被災者の方々からの要望を受け付けるため、さらに長い待機時間が必要になることは、容易に想像できます。

不眠不休で働いているとしたら、自治体職員の方々です。災害ボランティア参加者はおそらく、みんなそれに気づいています

活動内容は千差万別です。プライバシーに関わることなので詳述は避けています。福知山と白馬村では一般住民のご自宅にお邪魔して後片付けの手伝いを、常総市では集合住宅の敷地に流入した大量の藁クズ集めをやりました。

ボランティアが被害を受けた民家にカメラを向けることは、これ以上被災者の神経を逆なですることはない絶対にやっちゃいけない行為なので、作業中の写真はありません。その代りというわけではないですが、どこの被災地にもかならずできるゴミ集積地の写真をなぜか毎回撮っていたので、それを貼ります。実はもっとたくさん集まっている場所も、あとで見かけたりしているのですが、写真を残しているところということで。

常総市(2015.9)。

白馬村(2014.11)。

福知山市(2014.8)。

毎回「オレも年だし、そろそろ災害ボランティアはこれで最後にしようか」などと思いながら、機会があれば出かけてしまうのは、語弊はありますが、やはり自分自身のためだと思うんです。被災地に行って、現場を自分の目で見、現地のスタッフや被災地の方や他のボランティアと話をし、自分の手を動かすと、全部は言語化できませんが、実にさまざまな情報が入って来ます。 例えば被害が甚だしい地域と少なくとも外見上は平穏に見える地域は、通り一つを隔てていることが多いです。通り一つが被害の多寡を分けているんです。あるいは被災者の方が「安全にお金を惜しんじゃいけない。うちは建物にお金をかけたからこの程度で済んだ」という意味のことをおっしゃったのが、耳に残っています。あるいは膨大なモノを集めても、不可抗力で一瞬にしてすべてゴミになってしまう可能性があるので、ミニマリスト的な生き方が(「はてな」界隈ではあまり評判がよくないようですが)やはり一番合理的と言えるのではないか、などなどです。

何より災害ボランティアには帰る場所があります。しかし被災地の方々はそうじゃなく、復興までずっと被害に向き合わなきゃならないのです。帰路には必ずそのことに思いを巡らせます。そして自治体職員の中にも、必ずや自らが被災者である人も含まれているでしょう。そもそもボランティアの仕事と自治体職員の仕事は、比較できるものじゃないんです。

冒頭で、「残業代支給の是非、報道の適正・不適正は論じない」と書きましたが、思い出し書いているうちに考えが変わりました。前言を撤回します。締めに一言だけ個人の意見を書きます。

自治体職員のみなさんの残業代は適正に支払ってください。そのことを強く希望します。

追記:

これも貼っておきます。災害ボランティアの装備です。

nlab.itmedia.co.jp

常総市が公開」って書いてありますが、私は東日本大震災の頃から見た記憶があります。初出がいつかまでは調べ切れていません。

当方の見た限り、ここまでしっかり装備してる人はあまりいません。必須は「帽子・手袋・長袖・長靴」くらいでOKです。逆に言うとこの四点を満たしていないと、ちょっと危ないです。東日本大震災以来、月一ペースでボランティアバスを仕立ててずっと東北の被災地支援を続けている「愛知ボランティアセンター」の関係者は「長袖じゃない人が来たらその場でお帰りいただいています」と言っていました。

追記の追記:

大事なことを書き忘れてました。ペットボトルの水と昼食は持参必須です。現場でがっつり食べられるわけでなし、私の場合カロリーメイト(もどきの知らないメーカが出してる廉価品)とトマト缶ジュースまたは野菜ジュースで済ませています。休憩時間に飲むトマトジュースや野菜ジュースの美味しさは異常です。ペットボトルの飲料水は、たまにボランティアセンターでタダで貰えることがありますが、当ては外れることがあるので持って行った方がいいと思います。