しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない

「モンティ・ホール問題」と「死刑囚のパラドックス」

前回のエントリーで述べたとおり、「死刑囚のパラドックス」では、死刑執行までの日にちを減らすことによって、言外の含意を浮き立たせることができるんじゃないかなと考える。
すなわち、もし看守が金曜日に
「お前の死刑は明日の土曜日か明後日の日曜日のどちらかに執行される。死刑が行われる日は、その日の朝に告げられるまでわからない」
と言ったのであれば、後半の「その日の朝に告げられるまでわからない」が成立するのは土曜の朝までなので、例外期間約50%と例外がクローズアップされるが…
もし看守が前の週の日曜日に
「お前の死刑は来週の月曜日か明後日の日曜日のどちらかに執行される。死刑が行われる日は、その日の朝に告げられるまでわからない」
と言ったのであれば、後半の「その日の朝に告げられるまでわからない」は月〜土の間成立するので、例外期間1/7と例外を指摘しにくくなるのではないか?
「我々が用いる言葉の不完全性」とまで表現すると、主語が大きすぎるかな?(関係ないけど「主語が大きい」を流行らせた『絶望先生』の久米田康治はすごいとよく思う)
パラドックス!』や『詭弁論理学 (中公新書 (448))』の参考文献を眺めると、「死刑囚のパラドックス」は前回・前々回のエントリーで述べた以外のアプローチからも様々に論じられているようです。
ときに、「死刑囚のパラドックス」とは逆に、数を増やすことで問題の所在を浮き彫りにするケースとして「モンティ・ホール問題」というのがあるのを思い出したので、並べておきたいと思った。私が何か新解釈を付け加えているわけではない。
モンティ・ホールというのは米国のTVショーの司会者の名前で、モンティ・ホール問題というのは次のようなものである。
   *       *       *
TVショーで参加者に三つの扉が示される。三つのうちの一つが「当り」で、扉の後ろには豪華賞品が入っている。他の二つは「外れ」だ。
参加者が一つを選ぶと、司会者は残り二つの扉のうち「外れ」の一つを開け放ち、こう告げる。
「今なら扉を変更することができますよ。どうしますか?」
参加者は、扉を変更した方がトクか? 変更しない方がトクか?
   *       *       *
答えは「変更した方がトク」。参加者が扉を選んだ時点では、それが「当り」の確率は1/3だ。選ばなかった扉が「当り」である確率も、それぞれ1/3ずつだ。
しかるに司会者が「外れ」の扉一枚を開け放つと、残った扉が「当り」である確率は2/3になる(開かれた扉が「当り」である確率がゼロになったことに注意)。一方、参加者が選んだ扉が「当り」である確率は1/3のままだ。だから参加者は、扉を変更した方が「当り」の確率が2倍も高い。
だが我々の直観は、ただちにこの正解にたどり着くことができない。あるいはこの正解を示されても、なかなか受け入れることができない。「司会者が扉を開ける前と開けた後で、確率が変わる」ということが、直感的になかなか納得できないのだ。
これによりこの問題は大規模な論争を巻き起こした。Wikipediaの「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」の項に、かなりの文字を費やして経緯が紹介されている。
(いらんことだが、ウィキペの「抜き打ちテストのパラドックス - Wikipedia」の項は「モンティ・ホール問題」の項と比べると見劣りがするなぁ…ウィキペは触ったことないが、高橋昌一郎先生の本による解釈だけでも付け加えたくなった。多分やらないけど)
「モンティ・ホール問題」はベイズの定理のやさしい応用例としても、よく引き合いに出されるが、数式を使わない方法として、扉の数を増やす説明が私にはわかりやすかった。
すなわち、問題をこんなふうに変形するのである。
   *       *       *
TVショーで参加者に10枚の扉が示される。10枚のうちの一つが「当り」で、扉の後ろには豪華賞品が入っている。他の九つは「外れ」だ。
参加者が一つを選ぶと、司会者は残り九つの扉のうち「外れ」の八つを開け放ち、こう告げる「今なら選択する扉を変更することができますよ。どうしますか?」
参加者は、扉を変更した方がトクか? 変更しない方がトクか?
   *       *       *
参加者が扉を一つ選んだ時点では、それが「当り」の確率は1/10だ。選ばなかった9枚の扉が「当り」である確率も、それぞれ1/10ずつだ。
しかるに司会者が八つの扉を全て開け放つと、残った扉が「当り」である確率は9/10になる(開かれた扉が「当り」である確率がゼロになったことに注意)。一方、参加者が選んだ扉が「当り」である確率は1/10のままだ。
だから、参加者は扉を変更した方が絶対にトクという結論になる。
図があるとさらにわかりやすい。画像検索すると出てこないかなと思ったけど、扉10枚の画像は簡単には探せなかった。後で自分で作ってみようかな。
以前に検索して、10枚の扉を用いた見事なFlashを見かけた記憶があるのだが、これも探しきれなかった。代わりにつか何つか「DOFI-BLOG どふぃぶろぐ ネコでもわかるモンティホールジレンマ」というのを見つけた。これも悪くはないのだが、バッドエンドすると説明が最後まで見られなくて初めからやり直しになるのが、ちょっと面倒くさい。
追記:
「モンティ・ホール問題」と「死刑囚」を並べると、むしろ「3囚人問題 - Wikipedia」の方を連想される人が多いかも知れない。こちらには触れる余裕がなかった。何か思いついたら書きます。