しいたげられたしいたけ

空気を読まない。他人に空気を読むことを要求しない。

中欧四ヶ国格安パック旅行のコンデジで撮った写真を貼りつつ旅先で浮かんだ妄想を書き連ねる(その4:ハルシュタット)

次回から少し中断します。週末またデモって来るんで。今後「ウィーン編」「ブラチスラバ編」「ブタペスト編」と続く予定です。
バスでザルツブルク市街から少し離れたところにあるビール会社のやっているレストランに移動し、そこで昼食。

山の岩肌がむき出しになった様子がすごい。岩山だからか日本の山に比べて傾斜が急なような気がする。

次の目的地のハルシュタットに向かう道すがらを、バスの車窓から撮ったところ。

あと、本当に山の中も通ったんだけど、意外なことに、日本の山に似ているように感じた。もちろん植物学的には植生とか全然違うんだろうけど、黒に近い濃い緑の森の様子とかが。
本当は山森の中の写真も撮りたいと思ったんだけど、バスが高速で走っているためかコンデジではピントが合わなくて、いい写真が撮れなかった。
谷川を撮った写真。写りが悪くてすみません。でもあえて上げたのは、前述の通り山林の様子が日本の山に似ていると思ったことと、一方で谷川の岩や水の色が日本と微妙に違うと思ったことを説明したかったからだ。

前回のエントリーに書いた伏線の回収にかかります。長野や岐阜の地名を出したのは、ヨーロッパアルプスは日本アルプスに似てるという、すげー自明のバカっぽいことを書きたかったからです。そもそもイギリス人鉱山技師のウィリアム・ゴーランドが飛騨山脈木曽山脈赤石山脈に「日本アルプス」の異名を与えたのは、それらがヨーロッパアルプスに似ていたからに他なるまい。いらんことだが日本アルプスの命名者はイギリス人宣教師ウォルター・ウェストンだとずっと思い込んでいたが、確認のため検索したら違った! 私の場合、こゆことがよくある。
だけど、似ているとは言え、違うところはきっちり違うんだよね。ヨーロッパの水は硬水であり日本の水は軟水であることはよく知られているが、谷川の写真に示した通り、地質が違うんだろうなということは自分の目で見ると一目瞭然なのだ。
また土地の利用方法も違う。山間部にちょっとでも平坦な土地があると貪欲に利用する点はヨーロッパも日本も変わりはないが、日本では田んぼを作る代わりに、ヨーロッパでは牧草地を作るのだ。写真は撮れなかったけど(撮ろうとして失敗した)、道路すれすれの「えっ」と思うような細い牧草地で、牛がのんびり草を食んでいるところを見かけたし、牧草ロールが転がっているところはもっと何度も見た。数字を示すことはできないが、一頭の牛を養うためには広い面積の牧草地が必要になるはずだ。同じアルプスと名がついても、本家は日本に比べて標高が高くまた年平均気温も低いから、コメを作りたくても作れないのだ。
名著『肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))』始めすでにいろんな人が言い尽くしていることだが、人間という存在は自分が暮らす環境によって規定されている。その土地で採れるものを食べ、その土地に最適化した文化を持っているのだ。人間は自分の住む土地に根っこを生やして養分を吸って生きているのだなと、車窓の風景を眺めながらしみじみ再認識した次第。
ハルシュタットに到着。世界遺産に登録された景勝地だそうだ。湖は、町の名前と同じハルシュタット湖という名前とのこと。

石像の接写。塩を担ぐ労働者らしい。同行者は「二宮金次郎」なんて言っていた。

こんな山腹に村が…ここも元は岩塩の採掘所として開発されたらしい。あ、「ここも」と書いたのは、ザルツブルクのときに書いときゃよかったのだけど「ザルツブルク」というのはドイツ語で「塩の町」という意味で、海から遠いこの国では岩塩は金に等しいとまで言われた貴重な資源だったのだ。トンネルを掘って鉄道と自動車道が開通し、観光地としてもポピュラーになったとの由。

遊覧船でクルーズができるというのが嬉しい。

船内より。写真からはよくわからないけど、日本の「伊根の舟屋」みたいに、湖に面した家には一階に船着場が設けられているところがたくさんある。

この日ほど天気が悪かったことを残念に思ったことはない。天気がいいと、湖は真っ青で本当にきれいに見えることがあるのだ。以前に信州のJR大糸線に乗ったとき、車窓から青木湖が見えた。天気が良く午前中で光線の角度が良かったこともあって、息をのむほど美しかった。阿弥陀経に出てくる、極楽浄土にあるという八功徳水なる霊水の満ち満ちた七宝池というのは、定めしこんなところじゃないかと思った、ってわかりにくい譬えだな。
実際ハルシュタット湖は青木湖など長野県の仁科三湖に似てると思う。ただしハルシュタット湖のほうが面積は広く、周囲を囲む山々も高くて傾斜も急みたいだったが。
確認のため仁科三湖をぐぐったところ、湖沿いの道路に「塩の道」という名前がついているのを見つけて、またしても相似点が、と驚いた。ただし仁科三湖のほうは、岩塩が採れるからではなくて、日本海の塩を信州に運ぶ経路だったことからついたらしい。人間の生活の必要がフィルターとなって、元からある自然に相似点を与えるように見えるのだろう。
ハルシュタット湖沿いの鉄路を列車が通っているところも撮っておきたかったが、間に合わなくて撮れなかった。鉄道は、バスの停まった船着場の対岸にある。撮りたいと思ったものをとっさに撮るのは難しい。
船室。

最初の船着場から少し離れた別の船着場で下船。

目立つ教会の尖塔が、山腹と湖岸に一つずつある。山腹の方。

山腹の教会に上って湖岸の教会を見下ろすように撮ったところ。下船した船着場が、すぐそばにある。

町の方角を撮ったところ。湖岸の教会は、ハルシュタットの紹介写真に必ず写っているところだ。ちなみに山腹の方も湖畔の方も、礼拝堂には自由に入れた。
町を縦断するように散策して、最初に乗船した船着場に戻る。道すがらに土産物店がいっぱいあって、観光客にお金を落とさせようという算段だろう。よくできている。

町の中央広場。プラハのような大都市でも、このハルシュタットのような人口千人の小都市でも、ヨーロッパの町には必ず中央広場があるのはいい。

土産物店の店頭に並ぶ木細工。このへんも長野や岐阜の土産物店にそっくりだと感じた。

土産物店ばかりでなく、最初の船着場のすぐそばに普通のスーパーもあったので入ってみた。