しいたげられたしいたけ

人権を守るには人権を守るしかない。人権以外の何かを守ることによって人権を守ろうとする試みは経験的に全て失敗している

【童話】スーとお花ばたけ(その3)

蛇足

「その1」でいただいたブクマに、画像を「いらすとや」さんからお借りしたことに反応を何件かいただきました。画像検索して適切そうなものを使わせてもらっただけで、何か意図があったわけではありません。でも「いらすとや」さんマジ有能で、今回の連載に必要な画像はすべてこちらで揃いそうなので、これも何かのご縁と思って統一することにします。

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16

「おまえをたべちゃうぞ」

こえのぬしは、きょだいなイモムシでした。

牛ほどの大きさの、みどりいろのぶよぶよしたイモムシでした。

スーはたずねました。

「なぜわたしをたべるの?」

17

イモムシはこたえました。

「おれたちのなかまは、ようちゅうのときに花をたべると、花のもようのちょうちょになれる。

ねずみをたべると、ねずみのもようのちょうちょになれる。

ねこをたべると、ねこのもようのちょうちょになれる。

いぬをたべると、いぬのもようのちょうちょになれるのだ」

18

「だが、女の子をたべて、女の子のもようのちょうちょになったイモムシは、まだいない。

だからおれさまは、おまえをたべるのだ」

たべられてはたまりません。スーはにげだしました。

19

イモムシはおいかけてきました。さいわいイモムシは、そんなに足がはやくないようです。

ところがスーのバスケットから、だいじなししゅうのどうぐが、ぽろっとおちてしまいました。

「いけない!」

スーはおもわず立ち止まりました。

20

ししゅうのどうぐはイモムシが、とげのような、つめのような前足でひろって、めずらしそうにながめています。

スーは言いました。

「それをかえして。それはわたしのだいじなものよ」

21

イモムシは言いました。

「きれいじゃないか。おまえはこんなもようをたべたのか?」

スーは言いました。

「ちがうわ。わたしたちは、なにもたべなくても、きれいなもようが作れるのよ」

22

イモムシはたずねました。

「どうやって、そんなことができるのだ?」

スーは言いました。

「それはわたしのいちばんだいじなものよ。あなたのいちばんだいじなものを、見せてくれたらおしえてあげる」

23

イモムシは言いました。

「しかたがないな」

イモムシはむねの合わせ目の、ふところのようになったところから、大きな目ざましどけいを取り出しました。

「これがおれさまの、いちばんだいじなものだ」

(つづく)

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