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しいたげられたしいたけ

空気を読まない、他人に空気を読むことを要求しない

ルート2を連分数の極限として求めようとしたら行列が出てきた(中編)

数学

前後編に二分割するつもりでしたが、後編が長くなりすぎたので、さらに中編と後編に分割し、計三回の連載とします。すいません。

「前編」の結論を再掲すると、√2(ルート2)の分数による近似は、次のような行列によって与えられるということである。f:id:watto:20161203214209p:plain

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話は少し回り道する。弊ブログの数式は、MS Wordの数式で作って、画像データを貼りつけている。

このMS Word の数式は、マイクロソフトが配布している数学学習支援フリーソフト Microsoft Mathematics に貼りつけて計算させることができる。

ただし、学校で習った行列が角カッコ(大カッコ)を使っていたのでそれに従っているが、Microsoft Mathematics の行列はなぜか丸カッコ(小カッコ)を使う。角カッコのままコピペするとエラーになるので、カッコの中だけを選択して貼りつける必要がある。

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カッコが自動的に2重になるのが、個人的にはちょっと気持ち悪い。だがそのくらいまあいいか。電卓感覚で行列計算ができるのが、何よりありがたいのだ。手計算をやると、際限なく計算間違いをやらかすので。

行列関係の操作方法は、弊ブログでは下の記事に少しまとめた。ご興味を持たれた方は、よろしければご笑覧を。

watto.hatenablog.com

話を本題に戻す。今回のテーマは、この yl = 1, 3, 7, 17, 41, 99…、 wl = 1, 2, 5, 12, 29, 70… (l = 0, 1, 2, 3, 4, 5…)という整数列の正体を、もう少し見極めてみたいということだ。具体的には、前編では l の漸化式として与えたが、l の関数として与えることはできないかということだ。

私の学生時代の線形代数の成績は最底辺クラスだったが、それでも行列のべき乗を見れば、「固有値問題」「行列の対角化」という単語が、記憶の底から蘇ってくる。

高校数学でわかる線形代数―行列の基礎から固有値まで (ブルーバックス)』という本が手元にあるので、それに従って上掲の行列の対角化をやってみた。大学時代に使った本も残っているが、どれも古いのだ。

   *       *       *

まずは上掲書P134~に従い、固有値を求めてみる。

 正方行列 A と列ベクトル x があったときに、

       Ax = λx       (6-1)

が成り立つとします。このときのスカラー λ固有値で、列ベクトル x固有ベクトルと呼びます。また、この方程式を解くことが固有値問題です。 

(上掲書P134)

しまった、私もこれまでの数式に番号をつけておけばよかった。

とまれ、√2 の近似分数を与える行列式に関して、固有方程式を立てると、次のようなものになる。つか次のような方程式のことを固有方程式というのだ。上掲書P135。線形代数の本であれば、どれも載っていると思う。

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解いてみる。2次方程式になるので、解の公式で解ける。

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Microsoft Mathematics を使っても、解くことができる。とうにトウの立ったおっさんつかじーさんが、数学数学と騒いでいるのには、自分の若い頃にこういうソフトがあったらという怨念もこもっているのだ(逆に言えば、名の知られたソフトを開発した人の多くは「自分の若い頃にこういうソフトがあったらよかったのに」と思って作ったという。私には少なくともそういうソフトを開発する能力はなかったということだ。ほっとけや)。

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※ 上掲のスクリーンキャプチャは、ちょっとインチキしていることをお断りしておきます。下半分の入力ペインに数式を入力して、右下の「Enter」ボタンをクリックすると、上半分の出力ペインに計算結果が表示され、入力ペインはクリアされます。入力ペインの数式は、再入力したものです。参考のためのつもりです。

   *       *       *

 続いて、得られた2つの解に対応する固有ベクトルを求める(上掲書ならP136~137。くどいけど線形代数の教科書ならどれも載ってるはず)。

まず解 λ = 1 + √2 から。

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 p + 2q = (1 + √2)pp + q = (1 + √2)q

∴ p = √2q

続いて解 λ = 1 - √2

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 p + 2q = (1 - √2)pp + q = (1 - √2)q

p = -√2q

この2つの結果を用いて、次のような行列 P を作る(P の作り方は無数にあるが、今回はこうしてみた)。

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また、固有方程式の二つの解から、次のような対角行列 D を作る。

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そうすると、最初に掲げた √2 の近似分数を作る行列は、PD 、および P逆行列

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を用いて、次のように表せるのだ。

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このような操作を行列の対角化という(上掲書P137~139)。

ちなみにこれらの演算も、 Microsoft Mathematics で処理できる。逆行列は「inverse」関数を使うか「^-1」を乗じる。行列の積、行列とスカラーの積、行列とベクトルの積は、入力ペインにそれぞれを並べて入力するだけである。

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※ 上掲スクリーンキャプチャも、入力ペインの数式は参考のため再入力したものです。「Enter」キーをクリックすると、入力ペインの内容はクリアされます。

   *       *       *

何のために行列の対角化なんてことをやるかというと、行列のべき乗が出てきたとき、行列の対角化を行ってからべき乗すると、隣り合う PP逆行列がキャンセルされ、次のような扱いやすい形になるからだ。

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これのどこがどう扱いやすいかというと、前回の場合、漸化式で与えるしかなかった yn と wn の値を、n を用いて与えられるようになるのだ。以前はなぜか添字に n ではなく l を使っていましたねすいません何でだろう?

上の式を Microsoft Mathematics に計算させてみる。

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※ 入力ペインの数式は、参考のため再入力したものです。

このへんが Microsoft Mathematics の処理能力の限界らしく、出力ペインに表示された数式は、もう少し簡略化することができる。

念のため、上掲画面で出力ペインに出力された数式を、Wordに貼りつけて、整形してみる。

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これらの式は、次のように整理できる。

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Microsoft Mathematics のリストという機能を使って、両式に n =0, 1, 2, 3, 4, 5 を代入し、計算させてみる。

リストによる代入は、弊ブログの下記の記事を参照ください。

watto.hatenablog.com

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※ 入力ペインは、リストの入力方法を示すため参考までに再入力したものです。

確認のため、整理前の式にも、同じ値を代入して計算させてみた。

同じ結果が出た。当然とはいえ、ほっ。

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   *       *       *

今回の記事での一旦の結論は、√2の分数による近似を、漸化式を用いないで n によって直接計算するとしたら、次のような数式を使えばいいということです。

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今回の締めのつもりで、この数式も Microsoft Mathematics にリストを代入させて数値計算させてみました。どやっ?

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ただし、この式にどんな意味があるのかを説明するため、今回の記事は「中編」ということにし、予定になかった三回目を「後編」としてアップします。

高校数学でわかる線形代数―行列の基礎から固有値まで (ブルーバックス)

高校数学でわかる線形代数―行列の基礎から固有値まで (ブルーバックス)