🍉しいたげられたしいたけ

NO WAR! 戊争反察Ceasefire Now! 䞀刻も早い停戊を

挱石、䞉島、筒井䞉郚䜜四郚䜜の最終䜜に宗教臭が匷いずいう共通点は「これは虚構だ」ず瀺すためその

蔵曞の自炊䜜業をしおいお気づいたこずの、䜕床目かのたずめです。あんたりたずたっおいたせんが。

倏目挱石の䞉郚䜜ずいうのは、「䞭期䞉郚䜜」すなわち『䞉四郎』、『それから』、『門』を指したす。

䞉島由玀倫の四郚䜜は、「豊饒の海」シリヌズすなわち『春の雪』、『奔銬』、『暁の寺』、『倩人五衰』を指したす。

筒井康隆の䞉郚䜜は、「䞃瀬シリヌズ」すなわち『家族八景』、『䞃瀬ふたたび』、『゚ディプスの恋人』です。

以䞋、それぞれの䜜品のネタバレを含みたす。

 

結論を先に箇条曞きで瀺しおしたうず、次のような感じです。

  • 挱石、䞉島、筒井の䞉郚䜜四郚䜜には、最終䜜に宗教臭が匷いずいう共通点がないか
  • この共通点は、䜜者が読者に「これたでの物語は虚構だった」ずいうこずを瀺したいがために生じたのではないか
  • 挱石、䞉島、筒井の䞉郚䜜四郚䜜には、他にも「䞀䜜目の独立性が高い」「二䜜目がおそらく最高傑䜜」ずいう共通点がないか
  • たた「第䞀䜜、第二䜜は映像化されおいるのに第䞉䜜以降はされおいない」ずいうのも共通点ではないか

 

挱石の「䞭期䞉郚䜜」に関しおは過去に、私がこれらの䜜品を読んだのはだいぶ歳行っおからで、「もし若い時にこんなもんを読んで、居おも立っおもいられぬほど感情を揺り動かされたらどうするんだろうな」などず想像した旚を、以前ブログに曞いたこずがある。

 「居おも立っおもいられぬほど感情を揺り動かされ」るこずがあるず想像できるのは、私自身にそういう経隓があったからに他ならない。ではそれがい぀だったかず蚀うず、いく぀かあっお、その䞀぀が筒井「䞃瀬䞉郚䜜」を読んだ時だった。私の高校時代が、シリヌズの発衚期間ず重なったのだ。なんだか告癜するのは気恥ずかしい気もするけど。

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「䞃瀬䞉郚䜜」の䞻人公火田䞃瀬はテレパスである。テレパスずは他人の心を読むこずができる超胜力者のこずだ。そしお絶䞖の矎少女である初登堎時十八歳。

連䜜短線集『家族八景』では、䞃瀬は䜏み蟌みの家政婊ずしお、いく぀かの家庭で働く。しかしテレパスずいう胜力が、それぞれの家庭に隠された問題を容赊なく暎き立お、結果ずしおどこも長居できない。

連䜜短線集『䞃瀬ふたたび』では、䞻人公は家政婊をやめ各地を攟浪する。その道すがら、前䜜では䞀人も登堎しなかったそれらしき人物はいた䞻人公以倖の超胜力者ず、次々に出䌚う。

本線埌半では、超胜力者を抹殺しようずする謎の組織が登堎し、登堎人物たちは次々ず組織の凶刃によっお斃れおゆく 

個人的には、このくだりに䞀番ハマった。今にしお思えば、「䞻人公グルヌプを䞀人ず぀集めお䞀人ず぀殺す」ずいうのは、『氎滞䌝』、『真田十勇士』、『䞃人の䟍』などで定匏化された物語構造なのだが、高校時代はただパタヌン慣れしおいなかったのだろうか。

それにしおは『䞃人の䟍』に先立っお『荒野の䞃人』は地䞊波で芖聎しおいたし、マンガだが『ワむルド』ずいう怪䜜も読んでいたのだが。『ワむルド』のどこが “怪䜜” だったかずいうず、䞻人公グルヌプを䞀旊皆殺しにしお、「実はみんな生きおいた」ずいうのをやっお、それからたた皆殺しにしお ずいうのを䜕床か繰り返したずいう いやこの話も始めるず長くなるから別の機䌚にしよう。

『゚ディプスの恋人』はシリヌズ䞭唯䞀の長線である。前䜜の最埌で死んだず思われた䞻人公・䞃瀬が、なぜか普通に生きおいお、高校の事務員ずしお働いおいる。そこで䞍思議な高校生・銙川ず出䌚うのであるが、その䞍思議さのスケヌルが壮倧であり、『ふたたび』に登堎するタむムリヌパヌずいい䜜者の想像力に驚愕したものだ。

 

ただし、筒井の創造性はその埌、私の䞻たる関心事ずは異なるベクトルに向かう。すなわちメタ・フィクションずいうや぀だ。登堎人物が、自分自身が物語䞭の存圚、虚構の存圚であるこずを認識しおいたりする。『虚人たち』、『虚航船団』、『驚愕の曠野』、『残像に口玅を』ずいった䞀連の䜜品が、それに該圓する。そう蚀えば「䞃瀬シリヌズ」ず同時期に執筆された『富豪刑事』にも、その萌芜が芋られた。

だが私は、こうした䜜品を䞀応手にずっおはみたものの、䞀向に面癜いずは感じられなかった。私の文孊、文芞を受容する胜力が劣っおいるこずにもよるだろうが、私が筒井に期埅したのは、もっぱらストヌリヌテリング、物語そのものの面癜さだったのだ。

 

では私自身の䞻たる関心事は䜕だったかずいうず、「䞃瀬シリヌズ」だけがきっかけではなかったにせよ、自分自身の自己愛ずの栌闘だったのだ。もし䞃瀬のような超胜力者が、自分の心を芗いたら、どんなふうに感じただろう、䜕を発芋しただろう、ず自問したのだ。碌なものは芋぀かるたいず思った。

自問の結果、出おきたのは、䞋に瀺す図匏で、これは匊ブログにおいおも䜕床ずなく開陳しおいる。

私は自分が優れおいるず考える。ゆえに私は劣っおいる。

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私は自分が劣っおいるず考える。ゆえに私は優れおいる。

この問題に察しお自分の䞭で䞀応の決着を぀けるのには、それから玄20幎かかった。その内容は、匊ブログでは「もう䞀人の自分自身の正䜓は誰か」ず題した䞀連の゚ントリヌに曞きたしたので、物奜きな方は芋おやっおください。ごくごく簡単に蚀うず、我々の存圚は、クオリアずそのメタである短期蚘憶の統合でできおおり、我々が存圚に察しお感じる「生きるのも嫌、死ぬのも嫌」ずいうような䞍安は、根源的には我々の存圚のしかた自䜓に起因するもの、あたかも人類が二足歩行するに䌎っお生じた肩こりや腰痛のような職業病ならぬ存圚病ではないか、ずいうこずです。

watto.hatenablog.com

その過皋で、いろいろず寄り道をしたこずも、いい経隓ではあったず思っおいる。䞀䟋だが、筒井が圱響を受けたずいう粟神分析孊者のフロむト぀ながりで、やはり圓時のベストセラヌであった岞田秀の『ものぐさ粟神分析』シリヌズを手に取ったこずも思い出した。岞田は自身が粟神を病んでおり、その苊しみから逃れるために粟神分析孊者になったずいう経歎に、倧いに興味を抱いたりしたのだ。

『ものぐさ粟神分析』䞭にも自己愛を論じた郚分はあった。しかしその分析は、刺激こそ受けたものの、個人的に玍埗のゆくものではなかった。

のちに倧孊で本栌的に心理孊を専攻する友人ず話をする機䌚を埗、岞田は完党なむロモノであり、本家のフロむトすら叀兞的な䟡倀はさおおき臚床的にはすでに時代遅れず聞かされお、興ざめを感じたりもした。岞田は、埌日けっきょく粟神科医による投薬治療を受けるこずになる。少し埌のこずになるが、䞻治医の町沢静倫ずずもに『自分のこころをどう探るか―自己分析ず他者分析』ずいう本を出しおいる。

これに関しおは、興味深く感じるのず同時に、がっかりしたような気分にも襲われた。倧きなお䞖話だろうが「自力で決着぀けられなかったんかい」ずいう気持ちず、あず、薬物療法ずいう専門家以倖にはアクセスの容易ではない手段が解決に甚いられたこずに察する疎倖感、無力感である。そりゃ歎史に名を遺す人にハンパな人がいるわけがなく、フロむトだっお凡人の容易に手の届く盞手ではないが、それでもフロむト理論に察しおは、埒手空拳で倪刀打ちできるんじゃないか、自家薬籠䞭のものにできるのでないかずいう幻想を抱く䜙地があった。あくたで幻想です。

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今回の゚ントリヌは、埌半話があらぬ方に行っお、い぀に増しおたずたりのないものになっおしたった。圓初「私の䞭の挱石」「私の䞭の䞉島」ずいう方向に持っお行きたかったのだが、「その」以降がい぀曞けるか、そもそも曞けるかどうか、あたり自信が持おない。

远蚘

「その」は䞻に挱石に぀いお曞きたした。

www.watto.nagoya

家族八景 (新朮文庫)

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