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司馬遼太郎・小田実『天下大乱を生きる』(風媒社)

対談 天下大乱を生きる

対談 天下大乱を生きる

お二人とも関西の人であるせいか、タメ口の嵐。司馬氏と井上ひさし氏の対談本『国家・宗教・日本人』は非常に丁寧な言葉づかいであるのと好対照。
司馬氏によると、明治憲法はプロシアのシュタインという憲法学者がドイツ語で書いた草稿の翻訳(p74)。小田氏によると経団連(現・日本経団連)の席次は宮中席で決まる。どこの会社が上かなんて決められないから、勲章をいつもらったか、勲何等をもらったかで決めている(p89)。へぇ、の連続。海外の日本大使館は天皇誕生日にパーティを開くという話(p80)は、後にペルーの日本大使館人質事件で有名になった。
この本の元の版が潮出版社から出たのは1977年。対談が行われたのは、四半世紀どころか四捨五入すると30年近くも前になる。司馬氏が五十歳になったとか(p36)、小田氏が四十代(p91)とかいうくだりに出くわすと、失礼ながら正直「あれっ?」と思ってしまった。しかしアメリカという国家の強い軍指向性とか、日本のいわゆる法人資本主義(個人にではなく組織に忠誠を尽くす)とかは、当時も今も変わっていないというか、30年近くを経ていよいよ病膏肓に入っているという感が強い。一方で司馬氏や小田氏が期待を寄せている人々や運動は、滅びてはいないのだろうけど、正直に言って伸びていないというか、目立たなくなっている時代であるのがいかにも残念である。
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