よい児童書は大人が読んでも面白いとはよく言われることだが、本当にそうだと思った。
- 岸武雄『千本松原』(あかね書房)
- 作者: 岸武雄,梶山俊夫
- 出版社/メーカー: あかね書房
- 発売日: 1992/11
- メディア: 単行本
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- 宝暦治水を地元の百姓の視点から見た物語。現在の岐阜県南部にあたる、いわゆる輪中地域は、木曽三川のたび重なる氾濫で痛めつけられてきた。そこへ薩摩藩が幕府より治水工事を命じられる。何十万両もの費用のかかることがわかって、薩摩藩では「いっそ幕府に対して反乱を」という声まで出るが、家老の平田靭負(ひらたゆきえ)の『美濃の百姓は、われわれ薩摩の国にとっては、えんもゆかりもないようにみえるが、考えてみれば同じ日本国の人間、いわば兄弟のようなもの』(p99)という言葉で、普請を受けることを決断する。だが底意地の悪い幕府の監督と、工事が長引くほど地元に落ちる金が多くなることに気づいた現地民のサボタージュと、なにより工事自体の技術的困難のため、工期も費用も予定を大幅に超過する…
- 出身地の岐阜県を舞台にしているので、長らく読もう読もうと思いながら果たせなかったがやっと読んだ。amazonで調べと、残念ながら現在は品切れ。
- 三松正夫『昭和新山物語』(誠文堂新光社)
- 作者: 三松正夫
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 1974/08
- メディア: 単行本
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- 太平洋戦争さなかの1943〜45年、北海道の有珠山のふもとの寒村が、とつぜん隆起し400mの山になった。その過程を詳細に記録し続けた元郵便局長の著者が、児童向けにまとめたドキュメント。戦時中のことでカメラのフィルムの入手にも不自由する状況の下、著者は膨大なスケッチを残す。特に郵便局と自宅の建物の間にテグスを貼って定点観測地点とし毎日描いたスケッチは、のちに理科の教科書にも載る「ミマツダイヤグラム」となる。
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