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小長谷正明『ローマ教皇検死録』(中公新書)

ローマ教皇検死録 (中公新書)

ローマ教皇検死録 (中公新書)

というのを先に読んでしまった。著者は『脳と神経内科 (岩波新書)』などで知られるお医者さん。クリスチャンではないという。ただし個々のローマ教皇(法王)の列伝ではない。教皇の名が章名になっているのは第3章の「女教皇ヨハンナ伝説」くらいで、しかも近代以前のカトリックにおける女性の扱いが中心テーマになっている。以降、第4章がマラリア、第5章がペスト、第6章が血液型と輸血など、医学的なテーマごとに分類されたエピソード集という体裁である。
例えばこんな感じ。

 一二○九年、マルレオンの司教館に泥棒が入った。驚いた司教は重い祭具の杖で頭を殴りつけたが、泥棒は逃げた。そのうち教区民がつかまえ、袋叩きにした。ところが数日後、泥棒は死に、司教は自分が殴ったのが死因かと恐れをなし、教皇にお伺いを立てた。教皇は詳しく医学的検討をするように命令した。
 そこで、君い男が連れてこられ、同じように殴られて、どうなるかを実験された。が、一か月経っても、その男は元気で、よく食べ、よく働いていた。では、その打僕を受けた頭がどうなっているかを検討しようと、年とって手さばきの悪い医者が頭の骨や肉を切って調べた。四日後に若者は死に、人々は司教の杖で殴られたので死んだと糾弾してきた。
 たまらなくなった司教は教皇に事態を告げ、教皇からはさらにこのケースの医学的検討が指示された。二人の外科医と一人の内科医が若者を解割し、死因は不手際な手術によるものとされ、司教は無罪、手術医は有罪になったという。

(p186〜187)
何と言うか、民明書房刊か…と思ってしまうような内容でしょ?
でもこちらはあくまで趣味として楽しみたいだけだから、こゆのがいいのである。

脳と神経内科 (岩波新書)

脳と神経内科 (岩波新書)