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カント『純粋理性批判』も読む

純粋理性批判 上 (岩波文庫 青 625-3)

純粋理性批判 上 (岩波文庫 青 625-3)

ちゃんと読んでますよ、ええ。
前回までを要約すると、我々の理性は、現実の中で直面する様々な問題に対処するために、次々と原則を打ち立てるが、我々が直面する問題はいつになっても尽きることを知らないので、やがて我々が打ち立てる原則の中には、現実によって証明も否定もできないようなものが蓄積され、それらがお互いに対立し争い始めるようになる。それこそが「形而上学」である、てな感じでしょうか。
じゃあそう書けよと言いたいところだが、そこはぐっとこらえて、形而上学なるものの定義がそれでいいのかどうか、形而上学に対する知識の持ち合わせがほとんどない私にとっては、判定の下しようがないので、ひとまずそれを鵜呑みにする。
続く段落(篠田英雄訳『純粋理性批判 上 (岩波文庫 青 625-3)』p14)は、束の間すらすらと頭に入る部分である。そこも引用していると文庫本を一冊まるごと引用する破目になるから、要約だけ記すと、かつては形而上学は諸学の女王と呼ばれる地位にあったが、今日では見るも無残に没落してしまったということを言っている。OvidiusのMetamorphosesなる書からの引用があるが、これがどういった書物であるかは、私には全くわからない。ちなみに英語版では、元のラテン語が訳出されずにそのまま記されている。英語国民にとっては、少なくとも『純粋理性批判』を読もうという読者にとっては、ラテン語というのは身につけていて当然の教養なのだろうか…?
追記:
ええい、私はどこに目をつけているのだ?OvidiusのMetamorphosesとは、ローマ三大詩人の一人=オウィディウスの『変身物語』だ!ごく最近、読んだばかりの『ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)』(中公新書)に書いてあったじゃないか!?

 量的に最大の彼の作品は,『変身物語』Metamorphosesで,これはダクテュロス6脚韻による,ギリシアとローマの神話の集成である.
<中略>
 オウィディウスの『変身物語』は,神話を題材にしてロマンチックな挿話に富んだ面白楽しい物語である.だからといって,それをギリシア神話そのものと受け取ってしまうのは誤解である.しかしともかく『変身物語』はギリシア神話の資料としては量的に他の作品をしのいでおり,それが後世へ与えた影響に関して言えば,他のものとは比較にならない.

(上掲書p175)
どっかで仕入れた知識が、別のところから仕入れた知識となかなか結びついてくれないのは、いつものことながら悲しいことである。英単語なんか別の好例で、辞書を引いたばかりの単語が数ページ後に出てきたときに、前のことをすっかり忘れてまた辞書を引いたりする。それの繰り返しである。

ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)

ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)