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小笠英志『4次元以上の空間が見える』(ベレ出版)

4次元以上の空間が見える

4次元以上の空間が見える

図に示すような、つながった鎖の輪のような二つのリングがある。
このリングのうち片方に、他のリングと交差しないよう円板を貼りつけることができるか?
三次元空間では不可能である。だが、驚くべきことに四次元空間では可能なのである。
そのことは、中学〜高校数学で習う直交座標を使って示すことができる(本書p122〜)。
6-23の日記に書いた「三次元のスフィア」というのは、本書流の表記ではS、円柱の天井と床をくっつけたような空間はS×Sというらしい(本書p197〜)。
本書前半では直交座標とピタゴラスの定理など古典的なユークリッド幾何学の道具を使うが、後半では「関数」や「一対一対応」を主な道具として使う。そして「ホモトピック」「回転数」などの、中学数学や高校数学ではなじみのない概念が導入される。正直に告白すると、これらの言葉が登場するあたりにさしかかると、読み進むスピードががくんと遅くなった。逆に言うと、直交座標はそれなりに身についていたからこそ、すいすいと読み進むことができたのだろう。
なるほど、現代数学では数学者はこういう道具を使っているのかと、勉強にはなった。
で、結論として私には四次元以上の空間が見えたのかというと、残念ながら見えなかった。だが、素質のある人が数学的なトレーニングを積めば、四次元以上の空間は見えるのかもしれないという気がした。
もし四次元空間が見えたとすると、見かけは多分三次元空間に似ているのではないかと思う。