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曇のち晴|日記

空梅雨?

天気予報によると、今日は一日曇で、午後からは雨が降るかもしれないんじゃなかったの?
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宮田律『イラン 世界の火薬庫』(光文社新書)

この本を読んでいるとき、ちょうどこんなニュースが…

アフガン全土、治安悪化 米、イランの関与疑う
2007年06月18日22時12分
 反政府勢力タリバーンが攻勢を強めるアフガニスタンの治安悪化が、全土に広がりはじめた。首都カブールでは2日連続で自爆テロがあり、17日には日本人も巻き込まれて負傷した。比較的平穏だった北部でも自爆テロが続く。アフガンで「テロとの戦い」を推し進める米国は、イランがタリバーンを支援しているとの疑いを強めている。

なんだか嫌な気分がした。米国の言っていることと、著者が本書に書いていることが、違うのだ。本書によると、スンニ派原理主義のタリバンはシーア派との闘争を「聖戦」と考え、イランが支援するシーア派ハザラ人勢力「イスラム統一党」と敵対した(p93)とある。言うまでもなくイランはシーア派イスラムを国教とする。
どっちが正しいんだ?明白か?イラク戦争直前に米国が、フセイン政権が国際テロ組織アルカイダの親密な関係にあることを指摘したのを思い出さずにはいられない。それには当初から疑問を投げかける声は少なくなかったし(イラクは世俗主義の国で、アルカイダに限らず政教一致を掲げるイスラム原理主義とは水と油)、後に事実無根と判明した。
追記:(6/23)少なくとも今回の件に限っては、素人目にもアメリカの言うことの方が信用できないと映るのだが、なんでアメリカはそんなことを発表するのだろう?
それにしても、どこの国から見てもそうなんだろうけど、イランから眺めると世界地図がなんと違って見えることか。本書に従って、イランと周辺諸国との関係を、ごくおおざっぱにまとめると、以下のような感じになる(いや、いずれの国との関係も、時系列的に複雑に変化を続けているので、強引にまとめることは不正確になるだけではないかという恐れもあるが)。
サウジアラビア(スンニ派多数)…「湾岸の盟主」の座をめぐって対立(p132〜など)
レバノン(多宗教混在)…シーア派組織ヒズボラを支援
イラク(シーア派多数)…旧フセイン政権とは戦火を交えたが現政府とは良好な関係(p168)
ロシア…旧ソ連時代末期頃から良好な関係を保とうとする姿勢に転じる(p87)
アフガニスタン…流入するアヘンの問題はあるがカルザイ政権は支援(p100など)
インド・パキスタン…バランスに配慮しつつ双方との関係を重視(p101〜など)
中国…関係重視(p103など)
イスラエル…不倶戴天
そして最大の問題は、九九六〇発の核弾頭を保有し、そのうち五七三五発はすぐにでも使用可能(p116)だというアメリカと対立関係を続けていることで、イラン政府が駆り立てられるように核開発を急ぐ動機となっている。すると、イスラエルがその脅威を受けることになる。イランの核保有それ自体も脅威だが、サウジアラビアが友好国パキスタンから各技術の移転を考えるなど、中東の安全保障環境が劇的に変化する(p141〜142)というのがイスラエルの考えなのだそうだ。そうすると、イスラエルの最大の支援国=アメリカも黙ってはおらず…と、まさしく負の連鎖が現出しているようなのである。
仲良くすればええやん、って今さら言うのはナシなのかね?別に嫌いな相手とまでベタベタしろというつもりはなくて、嫌いな相手はほっといて付き合わなければええだけやん、と。