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本間圭一『反米大統領チャベス―評伝と政治思想』(高文研)

反米大統領チャベス―評伝と政治思想

反米大統領チャベス―評伝と政治思想

チャベス大統領に関する書籍は『ベネズエラ革命―ウーゴ・チャベス大統領の戦い ウーゴ・チャベス演説集』、『革命のベネズエラ紀行』、『チャベス―ラテンアメリカは世界を変える!』を読んだが、初めての人には本書が一番読みやすいかも知れない。『ベネズエラ革命』は演説集、『革命のベネズエラ紀行』はルポルタージュ風、『チャベス―ラテンアメリカは世界を変える!』はインタビュー中心で、本書はタイトル通り評伝風であるからだ。
しかし、もう一つの表題の「反米大統領」に関しては若干「タイトルに偽りあり」の気味があり、確かにチャベスは事あるごとにブッシュ政権を痛烈に批判する演説を繰り返しているが、政策的には米国の「虎の尾を踏む」ことを、慎重かつ巧妙に避け続けていることが書かれている。例えば選挙のたびにカーター・センター*1など米州各国からの監視団を受け入れるし、また、米政府がポスト・チャベス政権の樹立を念頭に首都カラカスに「政権移行事務所」なるものを設立すると伝えられても「注意深く、用心深く、静かに、忍耐を持って状況を見守ることだ」と慎重な態度を崩さないという(p219〜220)。

*1:本書p165の注を引用すると「世界の人権状況の改善を目的に、ジミー・カーター元大統領が一九八二年に設立した組織。本部は米ジョージア州アトランタ。地域紛争の解決など世界六〇ヵ国以上で活動。カーター氏は二〇〇二年にノーベル平和賞を受賞」