いずれも古いのです。
高木彬光『幻の悪魔』(角川文庫)

- 作者: 高木彬光
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1979/02
- メディア: 文庫
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ところが、なぜか読んでいてぜんぜん面白みを感じないのだ。「全身に刺青をした謎の女」(著者得意のアイテムだな)だとか、「旧満州で日本軍が関与した麻薬シンジケート」だとか、「旧宮家を名乗り巨額の資金をちらつかせる詐欺師」だとか、派手な道具立ては数々登場するのだが、言っちゃ悪いが「だから何なの?」という感じだし、またいずれもラストでこぢんまりと決着がつけられているという印象だった。
ひょっとして自分の感性が衰えたのかな、と少し心配になって、もう一冊読んでみた。
高木彬光『死神の座』(角川文庫)

- 作者: 高木彬光
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1975/01
- メディア: 文庫
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再読だけあって犯人が誰かとかは覚えていたのだが、細かい筋立てはすっかり忘れていたので、それなりに楽しめた。「なぜ同行する予定の友人が現れなかったのか」、「女の奇妙な言動の理由は何か」など、ふんだんにばら撒かれた謎には、それぞれちゃんと説明がつけられる。
同じ作者の書いたものでも、出来不出来というものはあるのだろう。私の好みに合う合わないというだけの問題かも知れない。