東野圭吾『探偵ガリレオ』(文春文庫)
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/02/10
- メディア: 文庫
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とは言え「第四章 爆ぜる〔はぜる〕」は客観的に見てかなり易しく、理系人間だったら多くの人はたぶん早期に気づくんじゃないかな?「第五章 離脱る〔ぬける〕」も、「何を当てればいいのか」の絞り込みさえできたら、キーとなる漢字三文字熟語○○○は比較的容易に思い浮かぶんじゃないかと思う。
「第二章 転写る〔うつる〕」と「第三章 壊死る〔くさる〕」は、そういう技術があることを知りませんでした。説明されれば、そういうものも当然あるんだろうなぁ、とは思うが。
「第一章 燃える〔もえる〕」に登場する技術は、私自身がサラリーマン時代に担当していた部署に近く、真相が見抜けなかったのはちょっと残念。まあ初めてで要領がわからんかったんだから、しゃあない。
つまり「科学技術の知識」プラス「殺人」というのが基本パターンである。だが前回のエントリーでも述べたとおり、私はフィクションであっても「殺人」や「殺人の動機」を読むことに苦痛を感じるようになってきたのが、つらいところ。「それこそが面白いんじゃないか!」という人もいるだろうけど。
島田荘司『御手洗潔の挨拶』(講談社文庫)
- 作者: 島田荘司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/07/04
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1作目「数字錠」は、回転式ナンバーロックがキモとなる密室殺人。だが警察が回転式ナンバーロックの解除の方法を知らないということは、ぜって〜、ぜって〜、あり得ね〜と思う。リアルの知人のお兄さんが警察官で、自宅のカギを紛失したとき、針金を使ってピッキングの要領で開錠したという話を聞いたことがある。警察で講習会があるんだそうだ(その話を聞いて自分でも試してみたけど、私は開けられませんでした)。ナンバーロックについても、リングの「遊び」を利用して効率的な破り方があるという話を、別のところで読むか聞くかしたことがある(試してみたけど私は開けられませんでした)。
2作目「疾走する死者」。殺人被害者の遺体が、ありえない距離の場所で発見される不可能犯罪。短編には珍しく作者からの挑戦状が付いている。しかし80ページ弱の短編で登場人物が1ダース。憶えきれるか〜っヾ(`Д´)ノ
3作目「紫電改研究保存会」。平凡なサラリーマンの主人公が、第二次大戦中の戦闘機である紫電改の研究保存会の会長を名乗る怪人物に、脅されるようにして封筒の宛名書きをやらされるという謎物語。御手洗潔によって合理的な説明が与えられる。これは好きだな〜っ!ドイルの古典「赤毛クラブ」を強く思い起こさせる。怪人物の真の狙いはなんなのだろうと、あれこれ想像するのが楽しい。つか改めて考えると、こういうジャンルを開拓したドイルは偉大という以外の何者でもない。今さらだけど。
4作目「ギリシャの犬」。タコ焼き屋がまるごと盗まれるという奇怪な事件が発端で、資産家の子息の誘拐、さらに何語かわからない文字で書かれた暗号の謎解きがからむ。物語に登場する盲導犬の犬種がシェパードであるとか、気にならないところがないでもないが、ラストで全ての謎が一つにつながるのは文句なしに面白い。
こうして眺めると、たまたまかも知れないが「殺人」がからむと私はダメだ。昔は『必殺!』とか喜んで観ていたのに、好みが変わったもんだ。
それから、前々回のエントリーで述べたことと重なるが、フィクションでは、誰かを傷つけているとかでない限り、事実誤認の重箱の隅つつきをするのはやっぱり野暮なのだろう。事実関係の正確さを追求するあげく物語の面白みを失ったら本末転倒である。
下半期の副業が始まったので、ミステリ三昧とはこれで当分お別れかな?