当方、目下ネット情報は、大部分を「はてな」経由で仕入れている(mixiなんかも覗いているが、比較にならない)。
その狭い範囲での印象なのだが…
"http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110328/its11032809320001-n1.htm"
この記事タイトルには驚愕した。言ってることはもっともだが、「どの口がそれを言うか!?」というやつである。
まずは辻元清美氏の公式サイトより
"http://www.kiyomi.gr.jp/news/2011/03/23-2132.html"
またデマが拡散した背景には、一部報道機関(産経新聞3月16日、産経新聞3月21日)が事実を検証することなく紙面に掲載したことも関連しています。
この非常時に公器としての報道機関がデマを拡散させたことに、厳重に抗議いたします。
産経新聞の記事というのは、これらのことらしい。
3月21日の分。
"http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110320/plc11032021460029-n1.htm"
カメラマンの宮嶋茂樹氏の著書によると、辻元氏は平成4年にピースボートの仲間を率いてカンボジアでの自衛隊活動を視察し、復興活動でへとへとになっている自衛官にこんな言葉をぶつけたという。
「あんた!そこ(胸ポケット)にコンドーム持っているでしょう」
辻元氏は自身のブログに「軍隊という組織がいかに人道支援に適していないか」とも記している。
3月16日の分。
"http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110315/plc11031521100044-n3.htm"
蓮舫氏は事業仕分けで大津波対策のスーパー堤防の廃止を判定した。辻元氏は平成7年の阪神淡路大震災の際、被災地で反政府ビラをまいた。
辻元氏ブログ中で否定されている「デマ」どんぴしゃそのままである。
ついでに、16日のほうに「大津波対策のスーパー堤防」なんて書いてあるが、あれは大津波対策だったっけ、と思ったら、はてなブックマークにすでに指摘があった。
"広域ゼロメートル市街地の抱える浸水リスクを知ろう!~浸水~|ア!安全快適街づくりの歩み|ア!安全・快適街づくり"
スーパー堤防整備事業は、計画を超える大洪水(「超過洪水」という。)による壊滅的な被害
から人口、資産が集中する大都市を未然に守るための事業です。
洪水と津波は違うよね。
続いて岡田克也氏ブログより。
"岡田かつや TALK-ABOUT: 東日本大地震-さいたまアリーナの避難住民の皆さんを訪問"
最後に、私の「さいたまスーパーアリーナ」訪問をめぐって、産経新聞が、私が全く言っていない発言を引用しました。
私自身そうした発言はしていませんし、しかも、裏(事実確認)も取らずに掲載をしていますので、私は、メディアとして基本的なことがなされていない、大変問題のある記事だと考えています。断固抗議しなければならないと考えているところです。
岡田氏が「全く言っていない発言」というのは…お、消したな?なに、ネットには魚拓というものがある。
http://megalodon.jp/2011-0322-1339-50/sankei.jp.msn.com/politics/news/110322/plc11032201300004-n2.htm
岡田氏は21日、福島県双葉町の住民が集団避難しているさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)を視察。帰京後、国会内の幹事長室に戻った際、周囲に「アリーナには人もモノもあり〜な」と冗談を飛ばしていたという。
さらに、民主党の衆院控室に「被災地に送ってほしい」と支持者から持ち込まれたというカップ麺を「買い占め」と書いたzakzak記事。
"http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110317/plt1103171129000-n1.htm"
私は民主党支持でもなんでもないが(私の支持政党は弊ブログに時々書いている通り)、産経新聞の「民主党に優しくない」という傾向は、一目瞭然である。念のために書いておくが辻元氏は無所属だけど民主党と同一会派に入っている。
これらは意図的に書かれたものとしか思えないが、意図せざるケアレスミスも多い。2ちゃんのまとめサイトから拾ってきたものだけど…
"http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110327/dst11032721230068-n1.htm"
東電と経済産業省原子力安全・保安院は26日に2号機タービン建屋地下1階で採った水の放射線濃度は、1立方メートル当たり29億ベクレルとしていた。
"http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110327-OYT1T00487.htm"
東京電力と経済産業省原子力安全・保安院は27日午前、福島第一原発2号機のタービン建屋地下1階にたまった水から1ミリ・リットルあたり29億ベクレルという高濃度の放射性ヨウ素134が検出されたと発表した。
"http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110328ddm003040075000c.html"
午前11時前に保安院が発表した「1立方センチ当たり29億ベクレル」というヨウ素134の値は、通常運転中の原子炉内の水の1000万倍という超高濃度。東電は正午過ぎには誤りに気付きながら、訂正を出したのは午後8時半ごろで、9時間半にわたり誤情報を流し続けた。
1ミリリットル=1立方センチですよ、念のため。
あとこれ。すでに訂正済みだが…
"http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110323/plc11032317390009-n1.htm"
魚拓。
http://megalodon.jp/2011-0323-2043-34/sankei.jp.msn.com/politics/news/110323/plc11032317390009-n1.htm
枝野幸男官房長官は23日午後の記者会見で、気象観測情報などを基に原子力施設から出た放射性物質がもたらす周辺への影響を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)によると、東京電力福島第1原子力発電所から30キロ圏外の一部でも1日あたり100ミリシーベルトの被曝線量になるケースが出たことを明らかにした。
ロイターの記事と比較して「数値がおかしい!」と話題になったネタだった。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20206420110323
枝野幸男官房長官は23日午後の会見で、放射性物質による被ばくに関する試算を行うSPEEDI(スピーディ)というシステムで計算した結果、福島第1原子力発電所の事故発生から毎日1日中屋外にいたと仮定した場合の甲状腺の被ばく線量が100ミリシーベルト以上となり得るケースが、同原発から30キロメートル圏外にもあることを明らかにした。
×「1日あたり100ミリシーベルト」○「事故発生から毎日の合計で100ミリシーベルト」
「1立方メートル当たり29億ベクレル」のほうも訂正すればいいのに。つか辻元氏と岡田氏の対応を見比べても、直したり直さなかったり対応はまちまちですな。
そうそう、これも貼らなきゃ。
"http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110318/plt1103181529003-n1.htm"
検証記事
"2011-03-20"
さらに
"http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110329/biz11032916350037-n1.htm"
J-CASTニュースの批判記事
"(2/2)ゼネコンの第1原発作業への派遣 「大手は大成建設のみ」の真偽: J-CAST ニュース"
鹿島建設は、福島第1原発の1号機から6号機までの基礎部分と建屋の施工を担当した。鹿島側関係者によると、鹿島建設も社員10人と協力会社作業員140人を第1原発から南側へ離れた拠点に派遣しており、3月22日に拠点入りしたという。同原発敷地内にも「社員が入っている」という。
とまぁ、毎日のように虚報、誤報のオンパレードなので、ついつい収集癖を出してしまったが、今日(3/31)収集したネタには、ちょっと考え込んでしまった。
法華狼さんのブログの"■[報道][トンデモ]私は如何にして心配するのを止めて産経を愛するようになったか"というエントリー経由で知ったのだが…
"http://sankei.jp.msn.com/world/news/110328/amr11032814520005-n3.htm"
ガーディアン(英国)
■私を原発信者にさせたフクシマ
22日付の英紙ガーディアンで環境コラムニスト、ジョージ・モンビオ氏は「なぜフクシマは私の不安を取り除き、原発を許容させたのか」と題して「原子力は想像できる範囲で最も厳しい試練に直面しているが、人類や地球への影響は小さい」と指摘している。
モンビオ氏は地球温暖化に警鐘を鳴らしてきた環境派だ。温暖化対策のため温室効果ガスを出さない原子力を見直す動きには距離を置いてきたが、福島第1原発事故を目の当たりにして原発推進派に転じたと打ち明ける。
「不十分な安全機能しかない老朽化したポンコツ原発を怪物のような地震と巨大津波が襲った。原発は爆発し炉心溶融を始めたが、知り得る限り誰一人として致死量の放射線を浴びていない」と語り、環境保護派は放射能汚染の被害を誇張し過ぎているとも批判する。
ガーディアン紙の元記事はこちら。
"Why Fukushima made me stop worrying and love nuclear power | George Monbiot | The Guardian"
このタイトルは、キューブリックの映画"Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb"(邦題『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』)のパロディだという。
興味を持って、元記事を読んでみた。英文なので、FireDictionaryの助けを借りながら。
法華狼さんのブログには
つまり名作映画で状況を皮肉ったイギリス人のブラックジョークを、産経新聞が素直に賞賛と受け取っていただけだった。……産経新聞も悪いが、ブリティッシュジョークのきつさも改めて思い知らされた。
と書いてあった。
確かに
A crappy old plant with inadequate safety features was hit by a monster earthquake and a vast tsunami. The electricity supply failed, knocking out the cooling system. The reactors began to explode and melt down. The disaster exposed a familiar legacy of poor design and corner-cutting. Yet, as far as we know, no one has yet received a lethal dose of radiation.
というくだり、すなわち産経新聞が「不十分な安全機能しかない老朽化したポンコツ原発を怪物のような地震と巨大津波が襲った。原発は爆発し炉心溶融を始めたが、知り得る限り誰一人として致死量の放射線を浴びていない」と抄訳している部分には、確かにネイティブならぬ身にも皮肉・嘲笑のニュアンスが感じられた*1(気づけよ!>産経)。
しかし、それに続くこの記事の本題と思われる部分は、私にはネタなのか本気なのか、この執筆者に賛同したものか反対すべきか、判断がつかなかった。辞書を頼りに字面を追うことはできるが、哀しいかな細かいニュアンスがわからないのだ*2。
産経新聞に限らずwebメディアをクロスチェックによって批判することは簡単だが、この一件を以てしても、果たして自分に「メディア・リテラシー」なるものが身についていると言えるのかを考え始めると、不安にならざるを得ない。
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