🍉しいたげられたしいたけ

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洋楽にオリジナルの歌詞と全然関係のない邦題をつける傾向は今はどうなってるんだろう?

たまたま他の人のブログに、同じ内容のコメントやブックマークコメントをつける機会があったので、このさい自分のところのエントリーにもしてしまいます。
昔から音楽、特に洋楽には疎いほうだが、それでもたまに「これ何を歌ってるんだろう? どんな歌詞なんだろう?」と興味が湧いて調べてみたことが何度かはある。

エア・サプライ「渚の誓い」(1983)

原題:Making Love Out of Nothing at All
これなんと主人公はフットボールのスタープレイヤーにしてプレイボーイなのだ! チームを勝利に導く方法も、スタジアムを喝采させる方法も、リッチになる方法もみんな知っているし、女性を口説く方法も、落とす方法も知り尽くしているが、本気で好きになった相手の心をつかむ方法だけがわからないと嘆く歌。「渚」も「誓い」も関係ねぇ!

ノーランズ「恋のハッピー・デート」(1980)

原題:Gotta Pull Myself Together
失恋した女性が「立ち直らなくちゃ!」と自分を叱咤激励する歌。実は全然ハッピーじゃねぇ!「私はバカだったわ」とか「泣き顔なんて見たくないでしょ?」とか「あなたがサヨナラを言ったんだもの」とか、わりと聞き取りやすいフレーズが頻出するのに、何考えてこの邦題つけたんだか?

シャーリーン「愛はかげろうのように」(1976)

原題:I've Never Been to Me
主人公のセレブでリッチな女性が、平凡な主婦を相手に、自分は世界中を旅して回ったけど自分自身に巡り合うことはできなかった(今日びで言うところの自分探しに失敗した)と愚痴る歌。「あなたが手にしているものが本当の幸せなのよ」と上から目線の説教にも聞けて、聞き方によってはけっこうムカつくこともできる。

愛はかげろうのように

愛はかげろうのように

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ウイングス「心のラヴ・ソング」(1976)

原題:Silly Love Songs
他のほどぶっ飛んでないけど好きなので。くだらないラブソングだらけだと嘆く向きがあるがどこがいけないんだ、俺は世界中をそのくだらないラブソングで埋め尽くしてやろうと思ってるんだ、と開き直っている歌。「金髪先生」という深夜番組でたまたまドリアン助川氏がこの曲の解説をしている回を観た記憶が残っているが、これどう考えても主催ポール・マッカートニーがかつての盟友で袂を分かったジョン・レノンを意識して書いたんだよねという説に全力同意を感じた。

心のラヴ・ソング

心のラヴ・ソング

  • Paul McCartney Catalog
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カーペンターズ「遥かなる影」(1970)

原題:Close to You
金髪碧眼の、とってもハンサムなボーイフレンドが他の女の子達からチヤホヤされるのを見て、心を焦がす女の子の歌。でも歌詞に屈託がなく明るいことが、主人公のいい意味での若さ・幼さを感じさせる。ぜって〜ぜって〜邦題の与えるような大人びたイメージではないのだ。

遙かなる影

遙かなる影

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世間に洋楽好きは山ほどいるので、私がこんなエントリーを上げなくても、ちょっと検索すれば面白い話はゴロゴロ出てくる。ディープ・パープルの紫尽くしとか。
ただしネットには書けても雑誌などの記事にはあんまりならないみたいで、これも私が知らないだけかもだが辛うじてNHKドイツ語講座のテキストに、ネーナの「99 Luftballons」*1が「ロックバルーンは99」というわけのわからない邦題になっていることをくさすドイツ語教員のエッセイが載っていた記憶がある程度だ。
かつてどこの出版社もマンガがドル箱であったため、雑誌の記事にマンガのコマのコピーを使うことが自主規制同然になっていたと言われることと似た「大人の事情」があったのかも知れない。知らんけど。

99 Luftballons

99 Luftballons

  • BMG Rights Management GmbH
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あらずもがなのオチに持って行こうと思う。
確認のため検索していたら、こんなのも思い出した。
カイリー・ミノーグ「愛が止まらない」(1976)原題:Turn It Into Love
嫉妬に怒り狂う友人に対して「その怒りを愛に変えるのよ」とアドバイスを送る歌。その友人を嫉妬させている張本人が主人公とも解釈できる歌詞なので、もにょる。止まらないのは愛ではなく愛とは真逆の感情なのだ!
でもってこの曲は、日本では1988年にWinkがカバーしてヒットした方の知名度がうんと高いと思う。カバー版の歌詞はオリジナルと全く別物になっている。
これを手掛かりに、日本の唱歌が各国の民謡などの原曲にオリジナルの歌詞をつけたものであることを想起するのは、容易だよね? 膨大な例があるが一例だけ上げると「故郷の空」がスコットランド民謡の「Comin' Thro' the Rye」のメロディだけを採用していて、原詞はドリフターズの「誰かさんと誰かさん」のほうがうんと近いことは、何度となく蒸し返されている(近年だとNHK連ドラ「マッサン」がらみとか)。
つまり、遡ろうと思ったらメチャメチャ古くまで遡れそうなのだ。これも麗しき日本の伝統の一つと言えるのかも知れない。
洋楽の新譜はぜんぜんわからないのだが、最近はどうなってるんだろう?

追記:
書いてしまってから思ったんだけど、いい加減な邦題をつけられたことで、実は日本の音楽ファンは案外損をしてるんじゃね?
だって、明るいメロディに乗せて明るいとは真逆な内容を歌うことで感動を作り上げるてなことは、音楽の世界では常套手段でそ?
いや今からでも遅くない。例えば「恋のハッピー・デート」では、ラストのリフレインを

くーじけるもんか! 落ーち込むもんか!
ぜったーい 立ちなおーって やーる!
きょーうは ダメでも あーすなら できる!
しあーわせーに なーって やーる!

みたいに超訳したカバーを作ったら、オリジナルに近い感動を取り戻すことは、できないかな。
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*1:ドイツ語で「99個の風船」。なんと反戦ソングなのです