秘かに書評一番乗りを目指していた。
だが、私の閲覧範囲だけでもすでに、サキ(id:masaki709)さんと…
まけもけ(id:make_usagi)さんに先を越されてしまっていた。
「はてなブログ」全体、ネット全体では、すでに何件のエントリーが上がっているかわからない。まあしゃあない。妙な欲を出さず、普通に記事を書こう。
* * *
午後6時頃帰ったら、Amazon からの包みが届いていた。予約していたのが発売日ちょうどに届いたのだ。
いつものことでフォーカスの悪いスマホ写真ですみません。
開封。
表紙。
裏表紙。
内容は、こんな感じだった。
読み始めると、ものすごいスピードで読めてしまう。文章が上手いのだ。その秘密は、元のブログを読んでいるので知っている。著者の ハルオサン さんの文章は、星新一の文体を下敷きにしているのだ。読みにくくなるわけがない。
もう一つの秘密は、この感覚は何に似ているのだろうと思い返して、週刊誌で読んだマンガを単行本で読み返したときのそれに似ているんじゃないかと気づいた。あくまで個人の感想です。ほどよく内容を忘れていて、「この後どうなるんだったかな?」とページをめくる手ももどかしく感じる感覚を、久しく忘れていたが思い出させてくれたように感じた。ありがとうございます。
「警察官になりたい」という子どもの頃からの夢が、これ以上ない残酷な形で裏切られてから、再起をはかるためまずスイミングスクールのコーチのアルバイトを始めたのが、本文P22~。
スクールのコーチとして接した子どもたちに励まされるようにして徐々に元気を取り戻し、正社員として社会復帰を果たしたいとバイトを辞めて就職した会社が、表向き家具屋のはずが実態は死体清掃で、次から次へととんでもない現場を回ることになったのが P27~。
その会社がありえない事情で倒産し、苦労の末に再就職を果たした「外資系」「夢のような求人」「アットホームな会社」の実態が、これまたとんでもねー超ブラック企業だったというのが P40~。
しかしその…
■ 個人事業主扱い(非正規雇用)
■ 完全歩合制度(平均月収5万円程度)
■ 交通費の支給なし(社用車もない)
■ 1日14時間労働(飛び込み営業)
本文P133
…という超ブラック企業で、なんと優秀な成績を上げ課長に昇進した著者が、二十数年の人生で初めて交際したという女性と、意外過ぎる経緯で破局を迎えるくだりが P92~。
超ブラック企業に3年勤めたものの、家族の説得により退職し、今度こそと再就職した会社こそが『天国に一番近い会社』だったというのがP138~。
本書に収録されているエピソードはどれもすごいのばかりだが、この『天国に一番近い会社』で起きたという事件が一番凄まじいもので、そのクライマックスがP154~…
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しかし著者は、「超ブラック企業」においてと同様、「天国に一番近い会社」でも、本書の最後の方に出てくる「大将」なる人物の経営する会社でも、実は優秀な成績を上げているのだ。ハルオサン さんは実は有能な人だというのが、私の昔からの持論である。しかし、それが正当に評価されたことが一度もなかったというのが、著者にとっての最大の不運だったように思われる。
旧軍の戯言に「バカな上官敵より怖い」というのがあるそうだ。それをもじるなら「バカな上司は敵より怖い」ということになるのだろうか。
経営者が優秀な社員を正当に評価せず、相応の待遇を与えないというのは、社員にとって不幸であるのみならず、かなり直接的に自分の会社の首を絞める結果にもつながることは容易に想像できるのだが、経営者にはそういうこともわからない人が多いのだろうか? もしそうだとしたら、不幸なのは著者だけではなく、日本の社会全体にそうとうに広く禍が及んでいるのではないかと危惧する。
弊ブログはPR記事でもなんでもないので、遠慮会釈なく書いてしまう。ハルオサン さんの本を出してもらったのに言うのも何だが、私は KADOKAWA という出版社を、あまり信用する気になれない。KADOKAWA への文句は 10月14日付の拙記事 にも書いたな。
そもそも ハルオサン さんのブログのタイトルは『警察官クビになってからブログ』 というものであり、警察官を続けることができなくなった経緯こそ、活字として残すべき価値があるように考える。しかし本書には、それらは収録されていない。
時あたかも「流行語大賞2017」の大賞に、「インスタ映え」とともに「忖度」というのが選定されたというニュースが流れた。
権力に対して忖度を行ったのか KADOKAWA ?