しいたげられたしいたけ

空気を読まない、他人に空気を読むことを要求しない

「しんぶん赤旗」の韓国MBCの新社長はかつてストを主導して解雇された人だという記事

Web版では見当たらなかったので紙面をスキャンした。日本のNHKにあたる韓国の公共放送MBCで、新社長に就任したチェ・スンホ氏が、ストライキを主導したとして解雇された記者の復職を発表したというニュースだが、チェ氏自身も解雇された一人だったという。

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12月10日付「しんぶん赤旗」6面より

自力で民主化を達成した韓国や台湾、それに民主主義を死守しようとしている香港においては、民主主義の成熟度は今や日本よりはるか上を行っているのではないかと常々感じているのだが、さすがにこのニュースには驚いた。日本で会社に反旗を翻して解雇された従業員が、のちに社長に就任するなどということがありうるだろうか? 韓国MBCの場合、前経営陣がときの政権与党に露骨にすり寄り、政権交代でハシゴを外されたという事情があるにしても。

 

これは意外と重要なことのように感じられる。日本の産業界で、データ改竄が発覚した企業は、この半年ほどだけでも日産(9月)、神戸製鋼所(10月)、スバル(同)、三菱マテリアル子会社(11月)、東レ子会社(同)と、長いリストになる。タカタの破綻をみるまでもなく、データ改竄という行為が、それによるわずかな経費節約にはとうてい見合わない、会社の根幹を揺るがせかねない大愚行であることは論を待たない。あらずもがなの説明をつけ加えると、特に海外企業から、巨額の賠償請求が来るのだ。まっとうな請求もあるだろうし、訴訟社会の米国にはゴロみたいな本当にやっかいな奴がいることを、かつて会社勤めしていた時期に側聞したことがある。こんなこと書かなくても、彼ら自身がよくわかっているはずなのだが。

 

日本では内部チェックが働きにくいことの一因に、経営陣が内部に起こった批判を抑え込めるという自信めいたものがあるのだろうかと勘繰ってしまう。東レのケースを報じた記事には、公益通報者保護制度が機能不全に陥っており内部告発者を十分守ってくれないため、ネット掲示板で告発が行われたともとれる記述があった(「東レ不正「ネットに書かれたから公表」が日本企業に与えた衝撃 | ダイヤモンド・オンライン」P4)。

ネットと言えば、3日ほど前の「ロスジェネ世代ってなんで大人しかったんだろう」という匿名ダイアリーに「google:学習性無力感」というブックマークコメントがいくつもついていたことも、印象に残った。「学習性無力感」という単語は使われていなかったがほぼ同趣旨のブコメを 11月27日付の拙記事 にいただいたことも思い出した。仮に韓国の直近の政権交代のように立場によって評価が分かれるものであっても、「自力で社会を変えた」という成功体験の有無は、社会の活力に直結するのではないかと思われる。

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いつもの一言多い癖を発揮して、言わんでもいいことを言ってしまう。ネットにちょっとでも韓国を持ち上げているように解釈できることを書くと、交流のないネトウヨから「韓国に行け」というコメやリプが飛んでくることがある。ネトウヨは自分の頭で考える習慣がないから、言い回しが驚くほど限られているのだ。あくまで今回の記事は、閉塞感に悩む日本社会を少しでもよくするにはどうしたらいいかと考えを巡らせたものである。

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