主語が大きい話ですみません。「日本人はお人よしだ」「外国(特に欧米)のほうが、ずっと悪辣だ」という評判をよく見聞きする。私も同感である。しかし、そのニュアンスに大きな誤解があるように思われ、ずっと気になっている。
「日本人はお人よしだ」と言うとき、そこに「善良だ」とか「純粋だ」という含意はほとんどないのだ。むしろ「短慮だ」「あさはかだ」、もっとはっきり言ってしまえば「間抜けだ」というニュアンスが、強く感じられる。狡猾な外国人に、いいように食い物にされているということである。
以前のエントリー に、英会話スクールの外国人講師に「日本人は舐められているんだよ」と言われ “I know.” と返すことしかできなかったと書いたことがあるが、それはこの認識を踏まえてのことであった。
具体例を挙げよう。日本にタカタという会社があった。エアバッグで国際的なトップシェアをずっと維持していた名門企業である。
そこが、米国で起きた死亡事故がきっかけに、無残にも破綻、解体されてしまった。事故自体は不幸なことであったが、そのあとのデータ偽装が、決定的な悪手だったと私は考えている。
周知の通り、米国は訴訟社会である。このような事態が明らかになると、米国内のユーザーとその代理人から、高額の損害賠償請求が相次ぐことは、容易に予想される。
支払いを拒絶すると、ただちに訴訟沙汰になる。
正当な請求もあっただろう。しかし、かの社会には、はっきり言って訴訟ゴロとしか言いようのない連中が夥しく棲息していることもまた周知と言えよう。両者を明確に線引きするのは、案外難しいかもしれない。
そうでなくてもアウェーの米国裁判所で、日本企業に有利な判決を引き出すのは簡単ではない。ましてやデータ偽装などというスキャンダルが発覚した以上、勝訴することはできるだろうか?
かつての優良企業だったタカタは、そうやっていいように毟り取られたあげく破綻に至ったと想像するのは、不自然なことだろうか?
タカタという一企業の破綻にとどまらず、タカタが持っていた技術の流出は、日本の国益にとって、ただならぬ損失と言えないだろうか?
去年(2017年)は、名門企業によるデータ偽装や無資格検査が、あいついで明らかになった年でもあった。日産自動車(9月)、スバル(10月)、神戸製鋼所(10月)、東レ子会社(11月)、三菱マテリアル子会社(11月)…年次をさかのぼると、旭化成子会社(2016年)、東洋ゴム(2015年)といった企業名も現れる。
これらは、それ自体がとんでもないことであるが、米国はじめ海外においてどれだけの損害賠償請求と訴訟沙汰が発生しているかと考えると、そしてそれに伴ってどれだけの国富と日本の技術が海外に流出しているかと想像すると、背筋がぞっと寒くなる。
* * *
しかし、データ偽装などの不正が、技術者にとって自殺行為でありモラル的に許されぬのみならず、上述のような現実的な不利益を不可避的に伴うものであることを、本来誰よりもよく知っているのは、それらの会社の経営陣であり、現場の技術者のはずなのだ。
なぜ私がこういう認識を有しているかと言うと、それは私が新卒で就職した会社から叩き込まれたことに他ならないからだ。どうしてそういう新入社員教育を施す企業が、自らそれをないがしろにするような行為に手を染めるのだろう? それが不思議で仕方がない。
一概に外国人の方がシビアだというのも、NHKスペシャルなどメディア経由で仕入れた 知識もあるが、より実践的には会社経由で教わったことであったのだ!
新入社員教育と言えば、私が新人時代に会社からみっちり仕込まれたことの一つに、「議事録を作成する」というのがあった。どこの企業でも、議事録作成は新入社員の主な仕事の一つじゃないだろうか。
議事録の必要性は、責任の所在を明確にするためである。もっと言えば、あらぬ責任をなすり付けられないための武器である。
かつての会社でも、議事録の不備が原因で、私が在籍した部署が不利益を押しつけられたことがあった。議事録を作る習慣のない中小企業や個人事業主の間では、ビジネスにつきもののトラブルが発生したとき、責任のなすり合いになり多くの場合小さい方が損をひっ被ることになるのも、よく見聞きする話である。実は実家の関わっているビジネスで、何年か前にそんなことがあった。
喧嘩別れした弁理士 が「議事録は省略していいですね?」などと、とんでもねーことを言いだしたことがあったのは、過去記事に書かなかったっけ? 今確認したら、書いてなかった。
ようやく政治の話になる。昨今、なかったはずの議事録などの書類が出てきた、あるいは決済済みの書類の改ざんが発覚した、などというニュースが相次いでいる。公文書偽造も私文書偽造も、れっきとした刑法違反である(公文書偽造:刑法第155条、私文書偽造:159条)。そして公文書偽造のほうが罪が重い。公文書についても、その重要性を最もよく認識しているのは、公務員諸氏自身に違いあるまい。
公文書をないがしろにすることにより、日本の国益にどのような不利益が出るかもまた明白である。簡単な事例としては、海外との訴訟を想像すればよい。どこの国でもいいが、例えば米国の法人または個人と、日本のカウンターパートが、訴訟沙汰を構えたとしよう。それぞれが証拠として、自国の公文書を提示したとする。もし日本の行政では公文書改ざんが常習化して信頼性が低いとでもいう評価が定着していたら、どちらが勝訴するかは言うまでもない。
もちろん文書の隠ぺいや黒塗りも当然まずいよね。証拠として提出することさえできない。
* * *
前置きばかりが長くなった。4月14日の国会議事堂前抗議行動の告知が、ツイッターのタイムラインに流れてきた。
2015年8月 以来2度目の遠征も考えないでもなかったが、ぶっちゃけ 先月はいろいろ出費が多かった ので旅費が惜しかった。
そこへ渡りに船と言うか、名古屋でのアクションの告知も流れてきた。全国から呼応ということで、今回はこちらに参加することにした。
以下、ツイッターに流した写真の再掲になる。
場所は、栄交差点からほど近いスカイル前というところだ。3月のミニ集会 があったのと同じところである。
午前11時集会スタート。ほぼ定刻に到着した。
ツイートには
「呉越同舟だな」
「どれがだいたいどこ系か見当ついてしまうというのもナンだが。
…こういうことをツイートすると、本当に無党派の人は引くかな?」
などと書いてしまった。
思わせぶりなことを書いても仕方がない。
この黄色い横断幕は、ヒルコ 蛭義 #5743@damdamj さんのツイートによると、社民党愛知の副代表さんが中心になって作成されたとのことだった。
ヒルコ 蛭義 #5743 on Twitter: "#0414名古屋大街宣
社民党の平山さん、手作りのダンマクに書き込むことがありすぎて大変だったと…。… "
こちらは幟の反転文字に「全労連」の文字が見える。共産党系の労働組合である。
「安倍やめろ」の巨大横断幕は、立民党に近いと言われる市民団体の十八番との由。
だから何なんだ、ってことだけどね。
ツイッターのほうでは開き直り気味に
しいたけ@しいたげられた on Twitter: "#0414名古屋大街宣
「本当の無党派を屏風から出してください」という話は措いといて。… "
とツイートした。
以下、写真を漫然と貼っていく。
ある程度は仕方ないといえ、顔を写したくないもので、どうしてもプラカードの写真が多くなるのはいつものこと。ご協力感謝です。
日本の「代用監獄制度」は、本当にまずいと思う。これじゃ裁判を経ないまま無期懲役と同じだよ。
これは 安保関連法に反対するぼっちの会 @oko_no_g さんという、フォロワー6,000人超のツイッター有名人が作成したプラカ。ネットからダウンロードできる。
ちなみに、これを掲げていたのは若い美人さんで、「写真を撮っていいですか」と尋ねたら引かれてしまった。誤解を与える言い方をした私が悪かった。人物は極力写しません。
写してるじゃないか。顔が写らないように撮る、という意味でした。
栄スカイル前って、狭いんだよね。
午前12時少し前の、ラストのコール。主催者発表によると、参加者は約250人とのことだった。
スポンサーリンク