🍉しいたげられたしいたけ

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自治体首長の「新自由主義的傾向」と不登校児童・生徒の発生数に相関はあるか?

前回の拙記事は、久しぶりにスマートニュースさんからスマニュ砲をいただいたりして、多くの方に読んでいただきました。ありがとうございました。

かなり政治色強めのエントリーだったと思うのだけど、いいの? って私が心配することではないか。今回も、さらに旗幟鮮明になっています。

1月11日付朝日新聞名古屋版朝刊28面(社会面)に、愛知県知事選に関するこんなニュースが掲載されていた。電子版を検索したが、まだ同じ記事は公開されていないようだった。

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見出しだけ文字起こしすると、“大村氏 リニア・産業前面” “榑松氏 福祉・教育を重視”  “2氏の公約出そろう”。

大村氏に関しては “「リニア新幹線」「産業首都」などをスローガンに掲げる” と、はっきり書いてあった。

記事本文を読むと “教育や福祉、医療などの分野をまとめた「人が輝くあいち」は最多の97項目を盛り込んだ” とあり、バランスを取ろうとしているようだが。

いっぽうの榑松氏に関しては、紙面をスキャンしていないところまで含めても、「産業支援に関する公約が手薄い」という批判は上がりそうだが、いつも言っているように私は「自称中立」とか「どっちもどっち」とかいう立場は取りませんので、批判したい人はご自分でやってください。

 

前回の拙記事に、現県政はリニアなど産業支援寄りという意味のことを書いたことに対し、もし「ソースを示せ」などと言われたらどうやって探そうと秘かに杞憂していたが、そんな心配はぜんぜんいらなかったようだ。

「打倒大阪」のほうは、ちょっと表現が強すぎたかなと、やはり秘かに思っている。どこかのメディアがそういう見出しを打ったのを見た記憶はない。前回エントリーで触れた中日新聞は「脱・三男坊」という表現だったな。

 

ときに、やはり11日、読者登録している「はてなブロガー」の方が、お子さんの不登校の原因について書いていらっしゃいました。リンクは差し控えます。

私なりに要約すると…

  • 定期テストや長期休暇の前に、大量の課題が出されること
  • 部活は強制で、朝・昼・夕と一日三回、それに休日も練習があること
  • しかも退部や転部をする選択肢がないこと
  • 部活や友達グループ内で上下関係(スクールカースト)が存在すること
  • 校則が理不尽 (いわゆるブラック校則?)なこと

などを挙げておられた。理不尽な校則の具体例としては、「下着は白のみ」「靴下以外のタイツ・パンスト等は禁止」「肌につけるものは禁止か要許可」「運動中の水分補給は禁止」 など、「いまどき?」と言いたくなる項目が10ほど列記されていた。

これ、どう見ても学校側に問題があるよね。一定の割合の児童・生徒をふるい落とそうとしているとしか思えない。

 

それで想起した。前回も貼った総務省「統計でみる都道府県のすがた2018」によると、愛知県のデータは…

不登校による小学校長期欠席児童比率
(児童千人当たり)4位
不登校による中学校長期欠席生徒比率
(児童千人当たり)5位

とのことだった。また

小学校児童数(1学級当たり)4位
中学校生徒数(1学級当たり)4位

ソースは下記サイト中 “E 教育” の Excel ファイル。それぞれAZ列、BB列、BH列、BJ列より値を採取した。

順位が高いのは人数が多いということで、悪い指標なのである。

www.e-stat.go.jp

 

単純に考えて、1学級あたりの児童・生徒数と不登校の児童・生徒数の間には、相関がありそうな気がした。

Excel で生データが公開されているのだから、簡単なデータ処理を施すことは、そんなに手間はかからない。だから、ちょっとやってみた。

まずは小学校の、横軸に1学級当たりの児童数、縦軸に人口千人あたりの不登校児童数を取った散布図を描かせてみた。上記 Excel ファイルのAY列とBG列の数値である。

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グラフ中の点線は、Excelに描かせた回帰直線である。かすかに正の相関が見られそうなものの、予想に反して相関が弱いグラフになった。 

CORREL 関数を使って計算させた相関係数は 0.1778 。これは「ほとんど相関がない」に分類される値である(絶対値0.2以下は「ほとんど相関がない」)。

 

つぎに中学校の、横軸に1学級当たりの生徒数、縦軸に人口千人あたりの不登校児童数を取った散布図を。上記 Excel ファイルのBA列とBI列を使用した。

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 点線はExcelに描かせた回帰直線。やはり相関が弱いグラフになった。CORREL 関数による相関係数は 0.1848で、やはり「ほとんど相関がない」に分類される値である。

 

考え直してみると「そりゃそうだろう」というべきかも知れない。素人が Excel を使って何十分かでできる分析を、文部科学省や教育の専門家たちがやっていないわけがない。もし明確な相関が現れたら、ただちに手を打つべきところであろう。

 

だがあくまで個人的な意見として、自治体首長のいわゆる「新自由主義的傾向」と、不登校児童・生徒の発生数には、なにがしかの因果関係があることへの疑いは、依然として拭えない。

前回も書いた知事選立候補予定者の支援集会で、支援者からの、こんなスピーチを聞いた。隣県の知事は元経済学者で、やはり新自由主義的傾向が強い人だと言われる。その県の全国学力テストの成績が芳しくなかったそうで、知事のツルの一声の下、朝・昼・放課後の「自主学習」がスタートしたとのこと。

もしこれが本当だとしたら、息が苦しくなるような話である。強い権力を行使できる立場にある人は、自分が児童・生徒だった頃のことを覚えていないのだろうか? それともその頃から「スクールカースト」上位だった人が、権力者になるものなのか?

 

しかし、そのような仮説を数値化するのは容易ではあるまい。多変量解析というテクニックがあり、「新自由主義的傾向」というものを政策や発言から、あるていど数値化することは可能だという。そうした数値と不登校児童・生徒数の相関を計算してみたい気はするが、Excel で数十分程度の手間では済むまい。

もっとも相関があるのは「新自由主義的傾向」とは限らず、例えばいわゆるリベラルや左派の首長(いたっけ?)であっても持ちうる「パターナリズム」のような性格かも知れないが。

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