しいたげられたしいたけ

空気を読まない 他人に空気を読むことを求めない

MMTと年金問題に不安を抱きつつ3ヶ月ぶりに「戦争はイヤだ!」集会に出てきた

MMTという明らかに怪しげな理論を、新聞紙上やネットでちらちら見かけるようになった。

digital.asahi.com

MMT とは Modern Monetary Theory(現代金融理論)の略だそうで、字面だけでは何のことかわからないが、ざっくりと言うと「自国通貨を発行できる政府は、通貨をいくら発行して財政赤字がどれだけ大きくなっても問題ない」「もしインフレの兆しがあれば、正常な財政に戻せばいい」という理屈らしい。

素人目にも怪しげな理屈だが、提唱者たちが「モデルは日本だ」と言っているそうだから、おだやかではない。上掲記事によると、さっそく政府や日銀は「我が国の政策とMMTは関係ない」と否定したとのことである。

それはそれで、違和感を覚える話である。

MMTと関係あろうがなかろうが、我が国が巨額の財政赤字を抱えていることも、日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など政府機関が巨額の株式買い入れを行っていることも、周知の事実ではないか。もし我が国の政府が自国の財政政策に自信を持っているのであれば、否定の声明を出す必要などないはずだ。つか研究者が観察対象にどんな名前をつけようがどんな理論を立てようが、彼らの勝手ではないのか?

 

MMTの怪しさに対しては、すでに多くの指摘がある。例えば今見つけたばかりだが「財政赤字がインフレを招いたら、財政赤字を止めればいい」という主張に対しては、前新潟県知事の米山隆一氏が次の「web論座」全5Pの記事のうちP3~4の2ページを費やして反論している。

webronza.asahi.com

国家や自治体の予算は「幼稚園・保育園の補助金にいくら」など細かく分けられて決められており、インフレになったからといって簡単に止められるものでもない、という趣旨である。このことは私も気づいたが、実際の行政の経験者である米山氏の言葉をお借りした方がよかろうと思ったので。

 

最大の問題は、MMTが怪しければ怪しいほど、日本国政府と日銀の財政政策も怪しいということにならないか、という疑問である。

巨額の財政赤字を積み上げることによるデメリットの一つは、前回の「戦争はイヤだ!」集会関連拙記事(気づいたらまた3ヶ月も参加をサボってしまっていた)に少し書いた。

www.watto.nagoya

国債・公債の発行額が増えると、その分だけ民間企業への投融資に回される資金が食われ、起業家の集められる資金が日本と米国など諸外国では桁違いの差がついてしまうのではないかという憂慮であった。

 

上の拙記事を書いた少し後に、id:SPYBOY さんがこんな記事を書かれた。日本経済の相対的衰退とそれに対する処方箋を論じた書籍に関する書評が中心の記事だった。

spyboy.hatenablog.com

そのコメント欄に書いた拙コメントの一部を転載する。

日本がもし GAFA に匹敵する国際企業を立ち上げ、米欧風の「普通の資本主義国」として世界に伍していこうと思うのであれば、
7.プライマリーバランスを大幅改善するべき。
という、とてつもない難題を突き付けられそうな気がします。

 それに対して、次のようなお返事をいただきました。ありがとうございます。一部、引用失礼します。全文はリンク先で読めます、当然ながら。

投資に回るべき金が国債にまわっている(クラウディング・アウト)は国民経済にとって良いことではありません。その分だけ経済成長は抑制される。第2次大戦後のイギリスがそれでした。ただし日本の場合 金を出している方にも言い分はあります。日本にはロクな投資先がない、というのです。確かにそうです。だから連中は国債を買っている。それはそれで局所的には合理的です。だから市場にすべてを任せるわけにはいかないのです(笑)。

 「クラウディング・アウト」という言葉を知らなかった! あわててぐぐって出てきた記事をいくつか読み、にわか勉強したつもり。

財政学や経済学に関しては知らないことばかりなのが、よけいに不安をかき立てられる。一般向けの入門書や解説書であれば私もぜんぜん読んでいないということはないはずだが、それくらいではとても足りているという気がしない。基礎というものができていないのだろう。

 

その素人目にも怪しく見えるという点をもう一つ。「アベノミクス」という名で呼ばれる日本の財政政策において、日銀やGPIFなど公的資金で一時的に株価を維持するというのを(いわゆる「鼻をつまんで」)認めるとしても、どこかで出口戦略を探らなければならない。日銀のほうはひとまず措くとして、年金はどこかで利益確定して払わなければならないからだ。

アベノミクスの成長戦略とやらを担う投資先がどういうことになっているか、SPYBOY さんが記事中によく引用し私もFF外ながら愛読させてもらっている人気ツイッタラー 愛国心の足りないなまけ者@tacowasabi0141 さんの最近のツイートを、一つ引用させていただきます。

これに加えてカジノ・IRなんてのもある。ギャンブルで経済振興の是非という道義的判断を保留するとしても、すでに米国にラスベガス、中国にマカオなど巨大なニーズの見込まれる市場にはすでに名門カジノが存在するレッドオーシャンに、後発として乗り込んでどれだけの勝算が見込めるのだろうか?

つか「原発」「兵器」「カジノ」と並べると、「禁じ手とされるものに手を出せば成功するに違いない」という楽観論が見て取れなくないか?それもネット語でいうところの「中二病」的な「悪いことはやったもの勝ち」とでもいうような。

禁じ手が禁じ手とされるのは弊害が大きいからであって、禁じ手に手を出すことによって直ちに成功が約束されるわけではない。それどころか、正攻法よりよほど巧くやることが要求されるのではなかろうか?

残念ながら福島第一原発の事故現場では、今も致死量に達する放射線がほぼむき出しの状態となっている区域がいくつもある。そんな国の造る原発を、どの国が進んで買おうとするのか?

残念ながら武力紛争を抱える地域は、現在もいくつも存在する。武力紛争の当事者にとって、兵器の性能は自分たちの生死に直結する。実績のない国の兵器を、誰が買うというのか?

もちろんこれらには、さらに道義的批判というものが加わる。カジノと同様である。

 

比較的新しいニュースとして、こんなのがあった。

www.nikkei.com

「働きたい高齢者を後押し」といいつつ、年金支払い期間も、年金受給可能年齢も、今より後ろへ(より高い年齢へ)延ばしたいという観測気球である。

繰り返すが、日銀の株式買い入れはともかく、GPIFのほうは支払いのためどこかで利確しなければならない。

元金の取り崩しがいつか始まるという記事を読んだ記憶があったので、検索した。ヒットはしたが思ったほど詳しい内容ではなかった。一応リンクを貼る。

wpb.shueisha.co.jp

元金取り崩しまで言わなくても、成長戦略が成果を見せないうちにGPIFが利確しなければならない状況に追い込まれたら、支えきれなくなった株価は下落を始め、GPIFと日銀の含み損は雪だるま式に膨らむという悪夢のシナリオはありえないか? 素人の杞憂であればいいのだが。

 

ところでMMTにしろ年金問題にしろ、現政権の政策に批判の臭いのする記事には、記事の筆者に対する個人攻撃的なブックマークコメントが必ずつくように見受けられる。ロジカルな批判であればいい。だが大方は「筆者が誰々だからダメだ」といったたぐいの、理論も理屈もへったくれもないものばかりが目立つ。よほど支持者にとって痛いところだろうと想像するしかない。

   *       *       *

というわけで、国会前で毎週やっている安倍政権批判アピールには参加できないけど、最寄りの駅前で月に一度やっている参加自由の「戦争はイヤだ!」集会に、意思表示のために。

スマホの解像度が上がったので、できるだけ顔の写っていなさそうな写真を選んでいる。

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今回借りたプラカード。

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参加者は十数名で、最近何ヶ月かは安定しているように見える。

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参加自由といいつつメインは改憲反対の署名集めである。協力してくれた方々。

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