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一字+二字や二字+一字に分解できない三字漢語のコレクション

前回のエントリー は、意外なほど多くの人に読んでいただき感謝しています。ありがとうございます。

定型発達から外れたヤツなので、他人があまり興味を持ちそうにないことに強いこだわりを抱くことがある。言葉のコレクションというのは、その一つである。

思い出せる範囲で最も昔から関心を持ち続けていたのは、三字漢語である。二字でも四字でもない。

ただし三字漢語と言っても膨大な数がある。そこに制約がつくのだ。一字プラス二字や、二字プラス一字に分解できてはいけない、というものだ。「暴風雨」=「暴」+「風雨」や、「収集癖」=「収集」+「癖」のように、一字+二字や二字+一字に分解したとき意味が通じてはいけないのだ。もしそれを許容すると「不」or「無」プラス二文字であるとか、二文字プラス「人」or「語」であるとかが許容されるので、いっぺんに数が爆発してしまう。

前回のエントリーに、「入出力」から「入出」だけを取り出したり、「緑黄色」から「緑黄」だけを取り出したりすると不自然になると書いた。しかし「入」+「出力」や「緑」+「黄色」と分解したとき、後半の二文字がちゃんとした単語になるので、これらも拒絶されるのだ。

なんでやねん、と思われるかも知れないが、こだわりというものは、そういうものだ。

 

思い出せる限り一番古いコレクションは「葉緑体」と「葉緑素」だったと思う。小学校高学年ごろに獲得した語彙だ。たぶん理科の授業で出てきたのだと思う。「×葉緑」という単語はない。また「×緑体」や「×緑素」という言葉もない。それがなぜか興味深かった。

他にそういう単語はないかとあれこれ考えを巡らせたのだが、今にして思えば小学生の語彙はごく限られたものだったのだろう、なかなか思いつかなかったことを記憶している。 

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かわいいフリー素材集 いらすとや さんより。規約の範囲内で加工しています。

 

次に思いついたのが「針葉樹」と「広葉樹」だったかな?「×葉樹」という単語はないし、「×針葉」「×広葉」は検索するとネット辞典に収録されているが単独で使用される機会は少ないんじゃないだろうか?

 

植物系が多いな。「蜃気楼」もいい。「大ハマグリの吐く呼気によって描かれる楼閣」という意味だそうで、「×蜃気」という語も「×気楼」という語も存在しない。

 

社会科では小学六年から日本史の勉強が始まった。歴史用語の「租庸調」や「下剋上」は分解不能のはずだ。

ただし「租庸調」は「租」+「庸」+「調」と一字三つに分解できる。こういうのは許容することにする。

すると「真善美」とか「運鈍根」とか「貪瞋癡」とか「身口意」とかを加えることができる。ゲームつかレクリエーションの「魚鳥木」もOKだ。

 

野球用語で「二遊間」「三遊間」「三本間」「右中間」「左中間」というのも、一字と二字または二字と一字には分解できない。あ、「三本」と「中間」は意味が通じてしまうからダメだった。

 

「漢字より読み仮名のほうが少ない単語」というジャンルがある。これはこれで興味深いが、先行研究により集めつくされている感がある。

「似而非」〔えせ〕、「山毛欅」〔ぶな〕、「香具師」〔やし〕などである。「大口魚」〔たら〕は「大口」+「魚」と分解できるから、私のコレクションには加えられない。「青花魚」〔さば〕は、どうしよう?

あるのかいらすとや!?

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コレクションというものは、集まらなければつまらないが、集まりすぎたら挫折してしまう。上記マイルールに基づく三字漢語コレクションは、分類学という学問の存在を知るに及んで、あっけなく挫折する。

「界門綱目科属種」と俗称される階層化により蓄積された膨大な専門用語が訳語されるにあたって、二字+一字に分解できない三字漢語が造語されていたのを知ったからだ。

 

ごく一例として 昆虫の分類 - Wikipedia 中「目以上の系統樹」より。バッタの仲間を意味する「直翅目」にしろハサミムシの仲間を意味する「革翅目」にしろ、「×直翅」や「×革翅」といった漢語が、単独で存在するわけではない(少なくともちょっとぐぐった限りヒットしなかった)。トンボの仲間の「蜻蛉目」やカゲロウの仲間の「蜉蝣目」のように、既存の単語を使用したと思われる例も少なくないが。それにしても、科、属、種と細分化するに従って、出現する分解不能の三字漢語の数は膨大な数になるだろう。

昆虫以外の動物や、植物に至るまで数え上げようと気を、誰が起こすだろうか?

 

「界門綱目科属種」のような漢字一文字の造語要素を含む語は除外するとでもいう新ルールを導入するか? そうすると「葉緑体」の「体」や「葉緑素」の「素」も除外するのか? 「針葉樹」や「広葉樹」の「樹」も除外するのか?

 

ということで、このコレクションの試みは、他のいくつかの少年期のこだわりと同様に、自分の中では「挫折」と位置づけようと思う。「挫折」が悪ければ「卒業」だ。

 

弊ブログではたまにやるように、今回も新着お目汚しを避けるため、日付を遡って公開します。

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