まず初めに、一有権者として一納税者として、政府配布の布製マスクいわゆる「アベノマスク」の、保健所による検品と配布の継続は、直ちに中止すべきではないかと訴えたい。
ビジネスジャーナルさんの4月27日付の記事。
FF外ですが、参議院議員の福島みずほ 氏のツイートも引用させていただきたく。
布マスクの検品を保健所にさせている事は問題です!厚労省の2つの事務連絡「妊婦向けマスクの取り扱いについて」(4月18日付)と「妊婦向けマスクの検品の徹底について」(4月21日付)です。 pic.twitter.com/M7BShnqles
— 福島みずほ (@mizuhofukushima) 2020年4月30日
昨日の朝日新聞の夕刊。妊婦用のマスクを保健所が検品するのはおかしいと言ってきました。厚生労働省の事務連絡で保健所に検品をさせていたのです。厚生労働省がやることになりました。しかしこれは厚生労働省の仕事でしょうか。なぜ業者にさせないのでしょうか。厚生労働省の職員の検品もおかしいです pic.twitter.com/3kNQ3e2Jwi
— 福島みずほ (@mizuhofukushima) 2020年5月2日
アベノマスクには当初約466億円という巨額の予算がつけられ(その後約90億円という数字が報道されたが、結局いくらで落ち着くのやら?)、業者選定で不透明な部分が指摘されたりもしている。その上に、そうでなくても大変過酷な状況下にあると伝えられる保健所に、これ以上の負荷を押しつけることに、いったいどういう道理があると言うのだろう?
参考までに 日刊ゲンダイの記事 によると、やはり保健所が主に担っているPCR検査の、拡充のための補正予算案が約49億円とのことである。
安倍政権の熱心な支持層からは、「アベノマスクのおかげで転売ヤーが在庫を吐き出したため、市場にマスクが出回るようになった」という擁護論が出ている。
問題は、安倍 総理自らがその理屈に乗っかってしまっているフシがあることだ。
ニコニコ生放送の対談で 安倍 総理が語ったことの突っ込みどころは、ブックマークコメントで多数の指摘が出ているように大学院生に対する支援がどうやら念頭になかったことなどいくつもあるが、今回の拙エントリーではこの部分に突っ込みたい。
一方、政府が全世帯に配布する布マスクについても番組で質問があり、野党などが疑問視する納品業者の選定について首相は「疑惑というのは全くそんなものありません」と反論。配布開始によって、流通するマスクの「価格が下がったという成果もある」と胸を張った。
上掲記事より
疑惑については野党やメディアによる調査と追及を期待するとして、配布開始がマスクの流通に影響を与えたという主張に対しては、明確に反論ができるはずである。
朝日新聞デジタルが、マスクに関するいくつかの記事を公開している。
40代中国人の輸入卸業者に取材した記事。4月30日付。
「マスクの輸入が儲かるらしい」という噂が在日中国人の間で広がったのが3月末から4月初めとのことだから、東京でアベノマスク配布が始まった4月17日(「布製マスクの都道府県別全戸配布状況|厚生労働省」)より以前の話である。そもそも船便には二~三週間かかるのだから、そのくらいから準備が始まっていないと現今の流通には間に合わない。
一言で言って、時系列が合わないのである。
これは日本の薬局チェーンの側に取材した、70万枚、約2700万円一括先払いの契約をもちかけられたという記事。5月6日付。
記事中の薬局は断ったとの由だったが、この記事を読んだ個人的な感想は「それでもこの条件で契約してしまう業者は、必ずいるだろう」ということだった。
果たして今日(5/7)付で、こんな記事が出た。
薬局やドラッグストアのような従来の主要ルートとは異なる販路で販売されているマスクは、うちの地方でもしばしば見かけるようになった。ラストの自動販売機で栄養ドリンクのセットで売られているマスクには、苦笑を禁じ得なかった。さすがにこういうものは、まだ見たことがない。
少なくとも、こうして出回っているマスクは転売ヤーの在庫処分ではないことは確かだ。転売ヤーの在庫であれば見覚えのある銘柄であろうし、またこれほど大量の在庫を転売ヤーが購入・保持していたとは考えられない。
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ここまでは報道のまとめで、以下は独自調査と個人の考察である。分量的にちょろっとだが、個人のブログだからそんなもんだろう。だが、あまり他の人が言っているのを見かけないということで。
目下、リモートワーク用ヘッドセットが、家電店の店頭から消えている。
近所の家電店で、こっそりスマホ写真を撮ってきた。どこへ行ってもこんな調子である。
ところがネットショップを調べると、割高とはいえ入手はそんなに困難そうではない。一例として Amazon を調べてみると、エレコムとかサンワサプライとかロジクールとか馴染みのある周辺機器メーカーのものは軒並み「入荷未定」または「出品者からお求めいただけます」となっているが、輸入代行業者の出品と思われるものであれば購入可能なのだ。
なんで輸入代行業者とわかるかというと、納入まで二~三週間となっているところが実に多かったからだ。これは船便を想定したものだろう(過去形にしたのは、今、確認のため調べたら「数日以内の発送」と書いてある商品が増えていたからだ。輸入代行業者が在庫を確保したのだろうか? 状況は時々刻々と変わっているようだ)。
これは、マスクの従来販路での品薄および別ルートからの流通と、同種の社会現象ではないだろうか?「アベノマイク」というのはないから比較しやすいのではないだろうか?
すなわちヘッドセットの市販状況が、マスクが出回るようになった理由がアベノマスクのおかげではない傍証になるのではないかと考えるのだが、いかがなものだろうか?
「アベノマイク」があろうがなかろうがヘッドセットの従来ルート品薄と別ルート流通があるように、アベノマスクがあろうがなかろうがマスクの従来ルート品薄と別ルート流通があるのではないかと考えるのだが、いかがなものだろうか?
と書いてしまってから思ったのだが、ヘッドセットと比較しなくても、朝日新聞デジタルの一連の記事、特にその中に記された時系列により、マスクが出回るようになったことへのアベノマスクの影響は明確に否定できるようにも思えたのだが、書いてしまったので公開することにする。
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